マイクロソフトが米軍クラウド支援体制を見直し ~中国拠点のエンジニアの関与終了

Pete Hegseth国防長官、国防総省のクラウド契約の見直しを指示

非営利報道機関ProPublicaによる調査を受けて、マイクロソフトは米軍向けクラウドサービスにおいて、中国拠点のエンジニアによる技術支援の提供を停止すると発表しました。

同報道機関は、7月15日にマイクロソフトが米国防総省のコンピューターシステムの保守に、中国拠点のエンジニアを関与させていたと報じました。

報告書によれば、これらのエンジニアは「digital escort(デジタルエスコート)」と呼ばれる米国籍のセキュリティクリアランスを持つ監督者によって管理されていましたが、その監督者たちは「高度な技術を持つ外国人エンジニアを監視するには技術的専門性が不足している」と指摘されています。

同報道機関は続けて、「一部の監督者は元軍人で、コーディング経験がほとんどなく、最低賃金に近い報酬で働いている人もいます」と報じています。

あるデジタルエスコートは同報道に対し、「彼らがやっていることは悪意がないと信じていますが、実際には分かりません」と語りました。

マイクロソフトはProPublica報道に対し、政府はこのビジネスモデルを認識していたと説明しましたが、米国防情報システム局(DISA)の広報担当者であるDeven Kingは「誰もこの件について何も知らないようで、次にどうすればいいのか分からない」と述べました。

調査が明るみに出てから、マイクロソフトの最高コミュニケーション責任者であるFrank X. Shawは、X(旧Twitter)に次のように投稿しました。「今週初めに提起された、米国監督下の外国人エンジニアに関する懸念に対応し、当社は米政府顧客向けのサポート体制を変更しました。これにより、中国拠点のエンジニアが米国防総省のクラウドおよび関連サービスに技術支援を提供することは一切なくなります。」

Pete Hegseth国防長官もX上で報道に言及し、次のように述べました。「もちろん中国を含む、どの国から来た外国人エンジニアも、国防総省のシステムを保守したりアクセスしたりすることは決して許されるべきではありません。」

同国防長官は現在、中国拠点のエンジニアが他のクラウド契約にも関与していないかを確認するため、2週間の契約見直し調査を開始しています。

マイクロソフトは以前、2019年に10年間続く予定だった100億ドル規模の「Joint Enterprise Defense Infrastructure(JEDI)」契約を獲得していましたが、後にこの契約はキャンセルされました。

その後、同社はJEDIの代替となる90億ドル規模の「Joint Warfighting Cloud Capability(JWCC)」契約の4社のうちの1社として選定されています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。