TikTok禁止令、Oracleのクラウドビジネスに打撃か

年次報告書に投資家への警告を盛り込む

Oracleは年次報告書に、TikTokの禁止がクラウドの収益と、利益に影響を与える可能性があるとの警告を記載しています。

同社は、トランプ前大統領が米国企業に対して、中国のプラットフォームとの取引を禁止する大統領令に署名して以来、少なくとも部分的には2020年からTikTokをホスティングしています。

その最初の大統領令の際、数社が支援に名乗りを上げ、マイクロソフトが買収を提案し、Oracleはウォルマートと組み、トランプ前大統領の方針を満たすため、ByteDanceから「TikTok Global」を、スピンアウトさせることを提案しました。

この取引の核心部分は、TikTokがOracle Cloudに移行することでした。とはいえ、「TikTok Global」が実現することはなく、トランプ前大統領が次の選挙で敗れた時点で、大統領令は取り下げられました。

しかし、禁止されるかもしれないという懸念が消えたわけではなく、2022年TikTokは、米国のデータをOracle Cloudに移行し始め、完全移行を計画していました。2023年同社は、15億ドルを投じてデータの管理をOracleに委ね、「Project Texas」を発表しました。当社は、同様の状況を避けるため、ヨーロッパでも同様の動きを見せています。

こうした努力にもかかわらず2024年4月、バイデン大統領は、TikTokの中国オーナーに、米国事業を売却するか、禁止に直面するよう強制する法律を可決しました。

TikTokには売却完了まで9か月(2025年1月まで)の猶予が与えられましたが、同社はこの判決に異議を唱え、違憲であり、プラットフォーム上のコンテンツクリエイターの憲法修正第1条の権利を侵害していると主張しています。

Oracleの年次報告書では、禁止措置は同社の収益と、利益にマイナスの影響を及ぼすとしています。

2024年4月バイデン大統領は、一定期間内にTikTokの所有者が一定の措置を講じない場合、米国内のユーザー向けにTikTokの配信、保守、更新を可能にするために使用されるインターネットホスティングサービスを、TikTokに提供することを違法とする法案に署名しました。

Oracle は、「当社がTikTokに、これらのサービスを提供できなくなり、その能力を適時に再配置できなければ、当社の収益と利益に悪影響が及ぶでしょう」と語っています。

Bloombergの報道では、OracleのTikTokからの収益は、年間4億8000万ドルから8億ドルの範囲になると推定されています。

Oracleの直近の決算説明会では、クラウドサービスおよびライセンスサポートの収益は、四半期で9%増の102億ドル、年間総収益は、6%増の530億ドルで、2024会計年度の、GAAPベースの営業利益は154億ドル、GAAPベースの営業利益率は29%でした。また、非GAAPベースの営業利益は231億ドル、非GAAPベースの営業利益率は44%でした。

同社は直近の2四半期で、Oracle CloudのAIトレーニングが原動力となり、同社史上最大の販売契約を結んだと述べました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Caféが日本向けに抄訳したものです。

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