米海軍が独自クラウド基盤をMicrosoft Azureから分離できずと発表

分離には「ゼロからの再構築」が必要と説明

米海軍は、独自に構築したクラウドシステムをMicrosoft Azure環境から分離することができず、分離するには完全な再構築が必要であると明らかにしました。

The Registerの報道によると、米海軍はマイクロソフトに「戦略的クラウドプラットフォーム – エンタープライズミッション統合」契約を付与した理由を詳述した、単一供給元契約の正当性を示す文書を公開しました。

部分的に黒塗りで隠された文書によると、この契約はNAVSEAクラウド環境の「リフト&シフト(既存環境の移行)」を目的としており、海軍および国防総省(DoD)のプログラムにアクセスするための、目的に応じて設計されたクラウドプラットフォームです。

米国国防総省(DoD)は、トランプ大統領が署名した大統領令により、現在「戦争省(Department of War:DOW)」として知られています。ただし、正式な名称変更には議会の承認が必要です。

文書によれば、マイクロソフトが選定された理由は「必要なサービスを提供できる唯一の事業者」であるためです。

NAVSEA環境がエンタープライズミッション統合を継続するには、Azure Data Transfer、Azure Kubernetes Service(AKS)、Azure SQL PaaS、Azure Key Vault、Azure Monitor、ExpressRouteなど、Microsoft GovCloud内で設計されたサービスの利用が不可欠です。

文書には、次のように記されています。「他のクラウドサービスプロバイダー(CSP)がNAVSEA環境をホストするには、政府はゼロからソリューションを再設計する必要があります。これは、防衛サイバー作戦(DCO)を支える業務アプリケーションの再構築を伴い、サービスの中断や任務の失敗を招く可能性があります。」

さらに、「NAVSEAクラウドの移行を必要な品質レベルで実施できる唯一のCSPは、マイクロソフトです。マイクロソフトの重要なクラウドサービスを他のCSPへ移行するために再設計・再構築・再構成を行っても、政府の互換性要件を満たすことはできません」と付け加えました。

この結論は、Amazon Web Services、Google、オラクルを含む4つのJWCC(Joint Warfighting Cloud Capability)事業者への調査を通じて確認されたものです。

将来的には、NAVSEAはクラウドインフラ契約をオープンなコンテナ標準に基づいて構築し、特定のクラウド事業者への依存を避ける方針です。

マイクロソフトは今年初め、「Digital Escorts」プログラムにより、中国人技術者が米国の契約業者の監督下でDOWクラウドシステムを支援していたと報じられ、批判を受けました。今月、米国防長官であるPete Hegsethが、このプログラムの停止を正式に発表しています。

JWCCプログラムは、2022年12月にAWS、Microsoft Azure、Google、オラクルに付与されたもので、総額90億ドル規模です。2018年に発表されたJEDI(Joint Enterprise Defense Infrastructure)契約の後継で、今後10年間で100億ドル規模になる見込みです。

今年7月には、国防情報システム局(DISA)が、より小規模な事業者のJWCC参加を検討していることを明らかにしました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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