半導体メーカーのクアルコム、データセンター部門消滅か
アメリカの半導体メーカーQualcomm社は、サンディエゴ、カリフォルニア、およびノースカロライナ州の269人の従業員解雇を計画しているようです。
レイオフ対象となる部門は複数ありますが、特に大きな影響を受けるのが同社のデータセンター部門であり、同部門では既に人員整理が開始しています。
今月初めにThe Informationが報じたレポートによると、Qualcommのデータセンター部門には2018年当初には1000人近い従業員がいましたが、レイオフが完了すると、その人数は50人近くまで削減されるのではと見られています。
データセンター部門は消滅へ
同社の広報担当は、CRNの取材に対して、
「Qualcomm社ではデータセンタービジネスへの投資を削減していますが、これからも引き続き5G通信、人工知能分野、およびクラウドソリューションの成長にはコミットしていきます。」と語りました。
世界最大のスマートフォンチップメーカーであるQualcomm社は、2017年後半にArmベースのCPUを最大48コア搭載したサーバー – Centriq 2400 – を発表し、データセンター市場へと参入してきました。
このチップは、市場からそこそこの評価を受けていましたし、今後も長期的に見れば成功していくと思われていましたが、データセンター部門はすぐにQualcommという巨大な事業のしがらみへと巻き込まれていきました。
同社は、その最大の顧客であるスマートフォンメーカーAppleと裁判での抗争を続けており、また、シンガポールと米国を拠点とするチップメーカーBroadcomからは敵対的買収をされそうになってきました。(最終的には米国政府-大統領令によって阻止)
参照:トランプ大統領、ブロードコムによるクアルコム買収提案を禁止
様々な抗争にまきこれたQualcommの株価は不安定な状態にあるため、今年の1月、同社はおよそ10億ドルに及ぶ経費削減を約束しており、データセンター事業がその影響をまともに食らった形です。
Bloombergによると、同社はデータセンター部門そのものの買収も検討していたようです。この買収では、以前Arm社を買収して注目を浴びた日本のソフトバンクグループがその買収先候補だったようですが、この取り組みは失敗に終わりました。
その一方で、データセンターチップメーカー市場のリーダーであるインテルをはじめ、いくつもの企業がQualcommの従業員を雇用したことからも、半導体企業で働いている人々がいかに有用かが証明されました。
マイクロソフトも同様に、Qualcommから解雇された多くの従業員を採用し、もともとQualcommデータセンター部門があったビルにフロアを借りたことを明らかにしています。
レポートによると、マイクロソフトによって雇われた従業員たちは、その多くが同社の上級幹部を含む量子コンピューティングプロジェクトへと参加したようです。
– Data Center Dynamics
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