サイバーセキュリティへの懸念が高まる中、Kasperskyが中国にデータセンター建設へ

世界的なサイバーセキュリティ大手Kasperskyは、中国市場に対するコミットメントを倍増させ、中国華南地区に新たなデータセンターを設立する計画を進めています。この戦略的な動きは、深刻化するサイバーセキュリティの課題に取り組みながら、強固なデジタルインフラ構築を加速させようとする中国政府の動きに付随します。

Kasperskyのアジア太平洋地域担当マネージング・ディレクターであるAdrian Hiaは、中国のデータ市場の重要性および、その成長に貢献したいという同社の意向を強調しました。「世界的にデータ主権がますます重視される中、現地でのプレゼンスは当社にとって極めて重要です。」

Kasperskyの投資は、国家統合コンピューティングパワーネットワークを構築するという中国の広範なイニシアティブに沿ったものです。この野心的なプロジェクトは、リソースの最適化、地域格差の解消、デジタル経済の発展を促進することを目的としています。 180を超える大規模な生成AIモデルが数百万人のユーザーに利用されるなど、AIの急成長が、強固なサイバーセキュリティ対策の必要性をさらに際立たせています。

こうした状況を受け、中国政府はデータセキュリティを強化する法律、規制、政策の包括的な枠組みを導入しています。同産業の評価額は2025年までに200億ドルを超えると予測されています。

Kasperskyが中国で力を入れているのは、データセンターの設立にとどまりません。同社は、データ保護規制に準拠する様々なオーダーメイドのサイバーセキュリティソリューションを提供することで、中国企業の海外事業を支援することを目指しています。Adrian Hiaは、特にIoTやコネクテッドビークルに関連するサイバー脅威に直面した場合、脅威の検出と、対応能力を強化するため、AIを活用することの重要性を強調しました。

しかし、サイバー攻撃の高度化は、AIを搭載したツールによって促進されることも多く、新たな課題となっています。Kasperskyの研究チームは、詐欺師がAIを悪用して非常に説得力のあるフィッシング詐欺を行う可能性があると警告しています。最近、香港の金融機関の従業員が、AIを偽装したエグゼクティブに数百万ドルを奪われた事件は、そのリスクを思い知らされる結果となりました。

こうした課題にもかかわらず、Kasperskyはサイバーセキュリティの防御強化におけるAIの役割について楽観的な見方を崩していません。同社は、脅威の分析と対応を自動化することにより、絶え間なく押し寄せるサイバー攻撃から顧客をより効果的に保護できると考えています。

W.Media (Hazel Moises 記者)より抄訳・転載

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