Motivair,エクサスケールスパコンに採用,モジュラー型HPC DCも展開

米Motivair Corporationの冷却システムは、今後発表される米国のエクサスケールスーパーコンピューターの3モデルすべてにおいて採用されるようです。

Motivair社の新しいExascale CDU (冷却分配ユニット)は、一度に4架の「150kW超」ラックを冷却できるといいます。同社はまた、高性能コンピューティング( HPC )市場向けのモジュール型施設の展開を狙い、iM Data Centersとのパートナー契約の締結を発表しました。

Motivwater(意欲)

1エクサフロップスのAurora(2021)、1.5エクサフロップスのFrontier(2021)、および1.5エクサフロップスのEl Capitan(2022)はすべて、この新しいCDUを使用します。

各システムは、グローバル入札プロセスでMotivair製品を選択したCray社により構築される、とMotivair社CEOのRich Whitmore氏はDCDに語りました。今回、必要な電力密度が非常に高かったため、Motivair社はCrayのテストベッドを使用して、CDUが要件を満たせるかを検証する必要がありました。

「Motivairだけでも特定のポイントまで行くことはできたが、今回はCrayと協力する必要があり、彼らのラボに特別な実験台を設置しなければならなかった」とWhitmore氏は言います。「こんなに小さなスポットに電力が集約している環境は未だかつて存在しない。今回は温度環境が極端に高く、従来このような環境におけるピーク状態は考慮していないため、これを通常のチラーテスト用のラボに入れることさえできなかった。システムは実際には十分暖かい温度環境でも動作するので、我々は温水で冷却することにした。

– Motivair

「したがい、 技術的にはプライマリループで従来の冷水を使用すると、より良い結果になるはずです。しかし、これらはW4水質向けに設計されている。それは非常に温かい水であり、チップセットからの戻りでは非常に熱い状態になってしまう。」

この極端な規模の電力環境は、冷却を冗長化する必要があることを意味します。「典型的な ハイパースケールデータセンター を見ると、たとえ大規模な冷却システムがシャットダウンし、何らかの理由でチラープラント全体がダウンしたとしても、サーバーはシャットダウンして自身を保護します。

「これらのエクサスケールシステムでも同じことを行うことができるが、冷却に関しては非常に極端です。常に稼働を維持する必要があります。したがって、複数のレベルの冗長性とレジリエンス(復元)力を保つ開発を行う必要があった。 これは、CDUで通常行うことをはるかに超えています。」

Whitmore氏は、このようなエクサスケールマシン向けに開発された技術が、今後数年後より広範なデータセンター業界に普及し始めることを期待しています。「今後HPCの利用が増えていくことは間違いない」と彼は言います。「そして、市場がそれに対しどのような準備をしていくのか?に興味がある。10フィートx 6フィートのエリアに600kW超の電力密度を想像してみてください。世界のどこにそんな高密度なインフラと電力を持つデータセンターがありますか?」

このレベルの電力とそれに伴う発熱を処理するために、 液体冷却 方式がHPCスペースをより支配するようになると、Whitmore氏は考えています。「HPC業界はより急速に成長している。今後のシステムはすべて水冷式になるでしょう。」

しかし、HPC以外では、「本当に超高密度環境になるまでは液体冷却は必要ない」と彼は言います。

Motivair製品の場合、現在の限界値は約75kWです。「ある時点の実装密度になると、コンピューターの実際のシャーシは、要求される空気の移動を処理する為、十分なファンを配置することは困難になる。あまりにも大量の空気の流れが必要になった場合のファンを考えるのは意味がない。ファンはラックよりも物理的に大きくなってしまう。」

同社は、Novecソリューションとの2相冷却を含むさまざまな形態の液体冷却方式を実験しました。「しかし、2相システムは制御が非常に複雑になる」とWhitmore氏は言います。「確かに実証実験を行なっているベンダーは存在する。それら液体のいくつかはチップレベルでは非常に効率的になるが、2相にした場合は沸騰させてから凝縮し液体に戻す必要がある。そしてその液体は水の半分程度の効率しかない。」

「チップレベルでは非常に効率的であっても、フルードレベルでは半分の効率。それ自体が根本的な問題だ。」

単相 液浸冷却 に関しては、「結構良いと思う」とWhitmore氏。「顧客には常にいくつかの選択肢がある。それらをトライしてみたいユーザは常にいます。しかし、牽引力を得るには、データセンターの構築方法の考え方を根本的に変える必要がある。私はそれはせいぜい15〜20年先だと思う。」

今のところ、Whitmore氏は、「少なくとも今後5年間」は”水冷“がHPCの市場を牽引し続けると考えています。

HPC専用モジュラー型データセンター

Motivairは、ターンキーモジュラー型データセンターを構築する目的でiM Data Centers社と提携し、HPC市場でより多くのシェアを獲得する野望を抱いています。

「当社の専門知識はITシステムの冷却、冷却インフラストラクチャ、そしてカスタマイズであり、CEOのMichael Roark の専門分野はハイエンドデータセンターの構築です。したがって、我々はシステムをまとめてパッケージ化しました。Motivair社のChilledDoorリアドアラック冷却システムを実装した事により、15kWのラック負荷を最大75kWで使用できるようになりました。」

同社は、モジュラー型導入の際の150kW対応CDUも提供しています。

「数年前に、我々は現在存在している多くのデータセンターは、十分な電力と冷却能力を備えていることがわかりましたが、超高密度システムに対応できる施設は、特定の地域においては顧客が求める近隣に存在しなかったり集中していなかったりです。その点において、我々は市場に何らかの価値をもたらすことができると考えています。」

「モジュール化やコンテナ化されたデータセンターを展開するベンダーは世界中に数多く存在するが、HPC市場に向いて取り組んでいるベンダーはいません。そこは我々の専門分野であるため、我々はITレベルですぐに開始でき、ラック単位で最大150kWをサポートするモジュラー型データセンターを開発しました。これは基本的にエクサスケール規模のシステムを収容する目的で設計されています。」

Data Center Dynamics

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