BT、2,500万件の光ファイバー敷設に向けて順調に進行中、Starlinkと衛星通信契約を締結

コスト削減を進める中、従業員総数は11万1,000人に削減

英国通信大手BTは、2026年12月までにOpenreach部門の光ファイバーネットワークを2,500万戸に展開する計画を引き続き順調に進めており、同時にStarlinkとの衛星通信契約も発表しました。

同社は11月6日、9月30日までの上半期の決算を発表し、その中で、過去6か月間に過去最多となる220万戸への光ファイバー敷設を実施したことを明らかにしました。

これにより、Openreach部門の英国国内における光ファイバーの総カバー数は2,030万戸に達しました。

しかしながらBTは、第2四半期にOpenreach部門のブロードバンド顧客が24万2,000回線分減少したと報告しており、これについて、競合他社への顧客流出とブロードバンド市場の減速が要因と説明しています。

同社の、今年上半期売上高は98億ポンド(128億1000万ドル)で、前年同期比3%減となりました。

BTによると、この減収は、従来型音声サービスの縮小、モバイル端末の取引量の減少、そして国際部門の業績悪化が主な要因だとしています。

同社のモバイル事業については、英国における5G契約者数が1,390万件に達し、前年比11%増加したと報告されました。

BTのAllison Kirkby最高経営責任者(CEO)は、次のように述べました。「当社は、競争市場において戦略を遂行しています。私たちは英国のデジタル基盤を構築し、他に類を見ない形で国中を接続するとともに、変革を加速させています。」

「英国事業への集中と抜本的な簡素化・近代化により、国際事業やレガシー事業の減収、および今年度開始以降の労働関連コスト増を相殺できているため、BTの変革は計画を上回るペースで進捗しています。」

同社は、コスト削減推進も継続しており、これは同氏の在任中における戦略の核心課題の一つです。同氏は以前、2029年末までにさらに30億ポンド(39億2000万ドル)のコスト削減を目指す計画を明らかにしました。

同氏が就任する以前の2023年時点で、2030年までに5万5,000人の人員削減を行う計画を発表しており、これは英国国内外の事業に影響を及ぼす見込みです。この計画により、従業員数は現在の13万人から2030年までに7万5,000人にまで減少する見通しです。

BTによれば、現在の従業員数は約11万1,000人で、前年同期比で6%減少しています。

上半期において、年間換算で2億4700万ポンド(3億2300万ドル)のコスト削減効果を報告し、30億ポンド(39億2000万ドル)規模のプログラム開始から18か月間で、累計12億ポンド(15億7000万ドル)の削減を達成しました。

「今年の財務見通し達成に向け順調に進捗しています」と、同氏は述べました。

彼女の経営再建戦略の核心は、英国国内市場への重点的な注力であり、これには他市場での計画的な事業売却も含まれています。

BTは今年4月、イタリア事業をRetelitに売却することで合意しました。また、9月には、アイルランドのホールセールおよび法人向け事業部門を、Cordiant傘下のSpeed Fibre Groupに2200万ユーロ(2536万ドル)で売却することを決定しました

しかしBTは光ファイバーを3000万戸に届けることができるのか?

Openreach部門のFTTH(光ファイバーによる家庭向けインターネット)展開は、四半期で過去最高の数字を記録し、来年には2500万戸という節目を達成する見込みである一方、2030年までに3000万戸をカバーするという長期目標については、不確実性が増している可能性があります。

今週のFinancial Timesのインタビューで、Openreach部門の最高経営責任者(CEO)であるClive Selleyは、追加の500万戸をカバーする事業計画は、英国通信規制機関(Ofcom)が次期5年間の規制期間に向けて提案した草案によって損なわれる可能性があると述べました。

同案では、価格統制などOpenreach部門の支配力を制限する規制が維持される見通しです。

同氏は「最終500万戸の承認手続きは、TAR(Telecoms Access Review=通信アクセス見直し)の結果を見てからにするつもりです」とFTに語りました。TARとは、Ofcomが5年ごとに実施する市場の規制見直しのことです。

さらに、「規制の方向性が明確にならない限り、社内での事業計画の具体化が困難であり、最終的な文言が確定するまで計画は保留状態となります」と述べました。

Ofcomが2021年に実施した前回の見直しでは、「オルタナティブ・ネットワーク・プロバイダー(altnets)」と呼ばれる複数の新しい光ファイバー事業者の設立につながりました。

Virgin Media O2やCityFibreなどの競合企業は以前から、Openreach部門が市場で大きな影響力を持っており、競争条件を平等にするために規制が必要であると述べています。

BT、Starlinkと提携

BTはこの日、複数の発表を行いましたが、その中で同社はイーロン・マスクのSpaceX傘下のStarlinkと、衛星通信に関する提携も結びました。

この提携の一環として、StarlinkはBTおよびEEの消費者向けブロードバンド顧客に衛星通信サービスを提供します。

BTによると、このサービスは既存の光ファイバーおよびモバイルネットワークを補完するものです。

この契約は英国では初めての試みであり、従来の固定回線インフラが経済的に実現不可能、あるいは構築が困難な地方や遠隔地の顧客に、超高速、低遅延の衛星接続を提供すると述べています。

このサービスは、来年後半に開始される予定です。

競合通信事業者Virgin Media O2は先週、英国における自社の地方ネットワークカバレッジ拡大のためStarlinkと提携契約を締結しました

Allison KirkbyCEOは、「Starlinkとのこの画期的な合意は、地方の接続性における大きな飛躍です。英国で、最も地方的で孤立した地域に住む顧客に高速で信頼性の高い家庭内接続を提供し、これまで以上にデジタルデバイドを解消することができます」と述べました。

Starlinkは特に米国でT-Mobileと強固な提携関係にあり、同社の全国衛星サービス立ち上げを支援しています。同社は英国で、約8万7千人の顧客を抱えていると推定されています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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