NVIDIAがノキアに10億ドルを出資へ

半導体大手がネットワークベンダーの株式を2.9%取得

NVIDIAは、AIネットワーキングを推進するための戦略的合意の一環として、ノキアに10億ドルを投資することを正式に発表しました。

この取引により、GPUの巨人であるNVIDIAは、フィンランドのネットワークベンダーであるノキアの株式2.9%を取得し、1億6600万株を買い付けます。

この合意の一環として、両社はAIを通信ネットワークやデータセンターインフラに組み込むために協力していく予定です。

NVIDIAの10億ドルの投資は、1株あたり6.01ドルの価格に基づいています。この発表後、ノキアの株価は最大で26%上昇しました。

ノキアは、今回の提携により、NVIDIAのAI製品を活用して自社の5Gおよび6Gネットワークをアップグレードすると述べています。また、米国の通信事業者T-Mobileも両社と協力し、6Gの革新と開発の一環としてAI-RAN技術の試験を行う予定です。

ノキアは、「試験は2026年に開始され、顧客向けの性能と効率向上の現場検証に焦点を当てる予定です」と述べています。

「通信業界に革命を起こす」

NVIDIAの創業者兼CEOであるJensen Huangは、次のように述べました。「通信は国家にとって極めて重要なインフラであり、我々の経済と安全保障のデジタル神経系です。NVIDIA CUDAとAIを基盤とするAI-RANは、通信に革命をもたらします。これは、米国がこの重要なインフラ技術において、再び世界的なリーダーシップを取り戻すための、世代交代となるプラットフォームの転換です。」

「ノキア、そしてアメリカの通信エコシステムと共に、我々はこの革命を起こし、通信事業者が次世代のグローバルな接続を定義するインテリジェントで状況の変化に合わせて自律的に調整・最適化する能力を持つネットワークを構築できるようにします。」

GPUの人気によりAIブームの最大の恩恵を受けている同社は、最近数か月間で積極的な投資を行っています。9月にはOpenAIに1000億ドルの投資を発表し、ライバルの半導体企業Intel(インテル)にも50億ドルの投資を約束しました。

ノキアの株価は、2025年4月にJustin HotardがCEOに就任して以来、過去5年間で最高値を記録しています。元インテルのデータセンター部門の幹部である同CEOは、AI投資の重要性を強調し、データセンターサービスに重点を置いています。

更に同CEOは、次のように述べました。「通信の次の飛躍は、単なる 5G から6Gへの移行だけではありません。データセンターからエッジに至るまで、AIを活用した接続性を実現するためのネットワークの抜本的な再設計です。」「NVIDIAとの提携と彼らのノキアへの投資は、AI-RANのイノベーションを加速させ、AIデータセンターを誰もが手軽に利用できるようになるでしょう。」

ノキアは、NVIDIA CUDAプラットフォーム上で5Gおよび6GのRANソフトウェアの提供を加速させ、NVIDIA ARC-Pro(Aerial RAN Computer Pro)を新しいAI-RANソリューションの中心に据えることでRANポートフォリオを拡大すると付け加えました。

NVIDIA ARC-Proは、接続性、コンピューティング能力、センシング機能を組み合わせた6G対応の高速コンピューティングプラットフォームであり、NVIDIAによれば、通信事業者が5G-Advancedから6Gへソフトウェアアップグレードによって移行できると述べています。

さらにノキアは、AI-RAN機能を備えた新しい技術によって、NOKIA AirScale basebandを5G-Advancedおよび6G時代へと拡張・進化させることを目指しています。

Dell Technologiesも、PowerEdgeサーバーを活用してノキアのAI-RAN推進を支援しており、本サーバーによりノータッチのソフトウェア アップグレードを提供し、5G-Advancedおよび6Gへのスムーズな移行を実現することを目指しています。

DellのCEOであるMichael Dellは、次のように述べました。「通信業界は、AIにとって最も価値のある資産、つまりデータが生成されるエッジを所有しています。」

「このAI-RANのノキアとNVIDIAとの協業は、その可能性を現実のものにします。私たちは、10万基以上のGPUを使って世界最大級のAIクラスターを構築してきました。今、その専門知識を活かして、何百万ものエッジノードにインテリジェンスを分散させています。今日インフラを近代化する事業者は、単にAIトラフィックを伝送するだけでなく、レイテンシーとデータ主権が重要となる発生源で処理を行う『分散型AIグリッドファクトリー(Distributed AI Grid Factory)』となるでしょう。」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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