
ソフトバンクがSceyeへの出資でHAPS構想を加速
来年、日本での先行サービス開始を予定
ソフトバンク株式会社は、来年、日本での商用化前のHAPS(High Altitude Platform Station)成層圏通信サービスを開始する計画の概要を発表しました。
これを支援するため、同社はSceyeに出資しました。
米国を拠点とするSceyeは、CEOのMikkel Vestergaardによって設立され、飛行船やツェッペリンに似たLTA(Lighter-Than-Air)タイプのHAPSビークルの開発を専門としています。
同社のHAPSプラットフォームは、空気より軽い気体であるヘリウムの浮力を利用して、長時間空中に留まることができます。
2023年、3か月の間に3回の試験飛行を完了しました。
ソフトバンクは、Sceyeへの正確な投資額については明らかにしていませんが、先週同社と契約を締結し、Sceyeのプラットフォームを使用したHAPSベースのサービスを、日本で独占的に提供する権利を付与したと述べました。
同プログラムの一環として、ソフトバンクはHTA(Heavier Than-Air)タイプのHAPSビークルを開発する一方、LTAタイプのビークルも活用し、HAPSベースの通信サービスの商用化を加速させるとしています。
HAPSベースの商用サービスは、6G時代のドローンや無人航空機(UAV)の安定した信頼性の高い接続をサポートし、地上ネットワークが中断された大規模災害時にも通信サービスを提供すると述べました。
HAPSは一般的に 「空の基地局 」と呼ばれています。高度約20kmの成層圏で運用され、広域通信を提供しています。
HAPSは、飛行船、気球、固定翼ドローンのいずれであっても、携帯電話の基地局や衛星の初期費用や専門の受信機を必要とせずに、地方や接続されていない地域への接続を提供する手段となります。
ソフトバンクのHAPS推進
ソフトバンクは、2017年からHAPSを活用したサービスを開発しています。
同社によると、今回のSceyeへの出資は、LTA型HAPSプラットフォームを利用し、2026年に日本でHAPSサービスを先行提供する計画を支援するとのことです。
このサービスは、大地震などの大規模災害で通信が途絶えた際の復旧を支援し、山間部や離島など通信が届きにくい地域への接続を可能にするとしています。
ソフトバンクによると、HAPSベースのサービスは、衛星ベースの通信と比較して、より高速、大容量、低遅延、柔軟な展開が可能になるとのことです。
ソフトバンク株式会社の代表取締役社長兼CEOである宮川 潤一は、次のように述べています。「HTA型HAPSの研究開発に加え、Sceyeとの新たなパートナーシップにより、2026年にLTA型HAPSのプレ商用サービスを開始できることを大変嬉しく思います。」
「HAPSの成層圏をベースとした広域通信は、既存のモバイルネットワークインフラではカバーが困難な地域へのネットワークエリア拡大や、大規模災害時の通信復旧手段として重要な役割を果たします。さらに、6G時代に向けて、空を利用したモビリティを支える3次元通信ネットワークが必要となるとき、HAPSは社会を支える重要なインフラとなるでしょう。」
ソフトバンクは近年、この分野で多くの投資を行ってきました。同社はLoonへの投資家であり、Loonの事業終了後には特許の一部を取得しましたが、2017年には米軍用ドローン企業AeroVironmentと共同でHAPSMobileを設立しました。HAPSは、翼長78mのドローンの試験飛行に5回成功し、以前は2023年頃に商業運用(主にオペレーターへの卸売りサービス)を開始することを目指していると述べていました。
同社は、HAPSだけでなく、地球低軌道(LEO)と地球同期軌道(GEO)の両方の衛星会社、さらにはエアロスタット(係留型飛行船)にも投資しています。
2023年、ソフトバンクは最新世代のHAPSプラットフォームのサブスケールモデルの試験飛行を実施した数か月後、ルワンダ上空のHAPSから5G通信の実証実験を実施しました。
同年、完全子会社であるHAPS Mobile Inc.の吸収合併を完了しました。
Loonこの記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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