英国政府、技術的な実現可能性の懸念にも関わらず、OneWebへの出資に入札
英国政府が、破産した衛星事業者OneWebの20%の株式取得に動いていると伝えられています。
同社は3月に連邦倒産法第11章(Chapter 11)を申請しました。これは一部にはCovid-19により経済が悪化し、支援企業であったSoftBankが20億ドルの資金調達ラウンドから撤退したことによる原因とされています。同社は現在、軌道上に74基の衛星を持ち、今後650基を打ち上げる予定でした。
NoneWeb
英国は金曜、民間投資家のコンソーシアムと並び、Boris Johnson首相とRishi Sunak大蔵大臣が署名し、そして物議を醸している(※)首相顧問のDominic Cummings氏が先頭に立って、同社の株式20%となる5億ドル(4億200万ポンド)を入札しました。
BBCニュースより
このニュースはまだ正式に確認されていませんが、 The Timesが最初に報告し、他の英国の報道機関が裏付けています。
入札は、英国がヨーロッパの全地球航法衛星システムであるGalileo(ガリレオ)へのアクセスを失ったことを受けて行われました。
英国は12億ポンド(14億7,000万ドル)をプロジェクトに投入していましたが、その後EUを離脱したことで、ガリレオから締め出されました。システムの2つのセキュリティ監視センターのうち1か所はハンプシャーに拠点を置いていましたが、現在はスペインに移動しています。
英国はその後、さらに9000万ポンド(1億1,100万ドル)を投じ、独自のガリレオ競合システムの構築の可能性を調査し、最終的に50億ポンド(63億ドル)の費用を投じました。現在、答えはOneWebにあると考えられているようですが、一部の専門家は確証はないと言っています。
「基本的な出発点は、はい、私たちは間違った衛星を購入してしまった。」レスター大学の宇宙政策専門家であるBleddyn Bowen博士は The Guardianに対し語っています。「OneWebは基本的にElon MuskのStarlinkと同じアイデア(地上の人々をインターネットに接続するために使用される低地球軌道の衛星のメガコンステレーション)に取り組んでいる。」
「OneWebの非常に有能なロビイストが、衛星の一部を完全に再設計して、その上にナビゲーションペイロードを乗せることができると政府に確信させたことが起こったのです。それは、何か他のことをするように設計された、証明されていない技術をメガコンステレーションにボルト締めしている。これは技術とビジネス上の賭けです。」
GPS、Galileo、ロシアのGlonass、中国のBeiDouはすべて、約20,000 kmの中軌道上で動作します。一方OneWebは1,200 kmの低地球軌道上で動作します。
克服すべきもう1つのハードルがあります。同社は英国に本社を置き、Ofcomを通じて英国でスペクトルの権利を登録していますが、衛星の製造は、エアバスとの合弁事業でアメリカで、アメリカの技術を使って行っています。
ニューヨーク州南部地区の代理米国弁護士を務めるAudrey Strauss氏は、米国政府がOneWebの潜在的な海外買収をレビューする可能性があるとの法的書類を提出した、とTelegraphは伝えています。米国の外国投資委員会はそのような買収を阻止する権限を持っています。そして、英国政府はホワイトリストに載せられるでしょうが、コンソーシアムの他のメンバーがどうなるのかについては明らかではありません。
その他のオファー
英国が支援するコンソーシアムに加えて、中国の3つのコンソーシアム、フランスの投資家、SpaceX、そしてAmazonらが入札していると考えられています。
破産の最中に、OneWebは48,000基の衛星の打ち上げ能力についてFCCに提出しました。これは650基の計画よりも大幅に上回っています。破産する前にLeoSatで勤務していたRonald van de Breggen氏は、提出書類の拡大は、Amazonの法廷支援に利用された可能性があると述べています。Amazonは、プロジェクトカイパー(Project Kuiper)の一環として数千の衛星を宇宙に送る計画ですが、独自のFCC書類で遅れています。
「同社はOneWebがその大きな市場アクセスの頭痛に対する解決策を持っているかもしれない。」と彼は書いています。
先週金曜日に行われた入札は、初回査定のために締め切られました。米国の破産裁判所の裁判官とOneWebの債権者によると、明確な勝者がいない場合、オークションは7月2日に開催されるとも事です。SpaceIntelReportの業界アナリストは、現在、英国のオファーがリードしていると主張しています。
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