米政府、中国最大のサーバーメーカーInspurをブラックリストへ追加
Cisco、IBM、Intel、Nvidiaなどが採用。同社は中国のクラウドプロバイダーでもある
中国のサーバーメーカーInspurが、 米国商務省の「Entity List」に追加され、これにより米国企業がInspurと協業することが実質的に禁止されました。
中国の老舗テックブランドの1つであるInspurは、ハイパースケールクラウドプロバイダーを含む西側のテック企業と深いつながりを持っています。
また、世界第3位、中国最大のサーバーメーカーでもあるInspurは、クラウド、エンタープライズデータセンター、AIワークロードをターゲットとして事業を展開しています。同社は、Open Compute Project(OCP)のアクティブな会員でもあります。
同社は中国国内でIBMやCiscoと合弁会社を運営し、地元の企業に製品を供給しているほか、中国国内で独自のクラウドプラットフォームを運営しています。また、世界中のハイパースケールデータセンター企業にも供給を行っており、2005年にはマイクロソフトが同社に対し2000万ドルを出資しています。
昨年3月、InspurはJD Cloudとパートナーシップを結び、液冷サーバーの販売開始を発表し、さらに先月には、中国の検索大手Baiduの主要サプライヤーであることを明らかにしました。このほか、同社の中国の主要顧客としては、Alibaba、Tencent、China Mobileなどが挙げられます。
Nvidiaは同社を「素晴らしい」また「最新のAI技術をあらゆる顧客に提供するために不可欠である」と評価し、一方Intelは主要サプライヤーとなっています。
しかし、今後はそうした関係もすべて保留にしなければならなくなります。米国企業はブラックリストの適用除外を申請できますが、禁止事項の深刻さによっては実現不可能になる可能性もあります。
2020年当時、米国防総省はInspurが中国軍とつながっているとし、インテルがチップ販売を一時中断する事態を引き起こしました。しかし、国防総省のリストには禁止措置が含まれていなかったため、販売は再開されました。
翌年、バイデン大統領は米国の個人や 企業がInspurに投資を行うことを禁止しました。
この新たな制裁措置を受けて、Inspur Electronic Information Industry Co.の株価は10%下落しました。
Inspur はコメントを差し控えたものの、制裁内容について評価を進めているとしています。
今回の制裁では、合計28社がEntity Listに加えられました。特に注目されるのは、Loongson社です。LoongArchマイクロアーキテクチャは、中国軍や企業で使用されており、欧米の命令セットアーキテクチャの最終的な競争相手とみなされています。
また、今年初めに米国が中国のスパイ用気球を撃墜したことを受け、高高度気球に関連する6つの企業も最近ブラックリストに登録されました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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