データセンター業界のPUE改善が停滞~Uptime調査

世界的に有名な業界団体Uptime Instituteは、電力使用効率(PUE)の改善が停滞していることを示す数値を発表しました。PUEについては賛否両論ありますが、業界が持つエネルギー使用量の最良の指標です。Uptime Instituteが独自に作成したグラフによると、今年の1.57という数字は、2014年からほとんど動いていません。

同社はデータセンター事業者に、各社が持つ最大規模のデータセンターの年間平均PUEを明示するよう求めてきました。はじめの数年間は大きく改善し2014年には1.65でしたが、その後は1.67と今年の1.57の間で推移してます。

Uptimeは、PUEはITの効率性を把握するものではないがデータセンター施設がIT機器に加えてどれだけの電力を使用しているかを示す有用な指標であるとしています。2010年代前半に大きな効率化が図られた後、平均PUEは過去5年ほど比較的安定しています。

リサーチ部門のエグゼクティブディレクター、アンディ・ローレンスは、「2021年の調査結果はデータセンター業界の継続的な成長と、データセンター事業者やオペレーターが今日直面している多くの複雑な課題を浮き彫りにしています」と述べています。「障害防止、環境維持、総合的なパフォーマンスに関しては、かつてないほどの高いハードルとなっています。だからこそ企業はミッションクリティカルなデジタルインフラとオペレーションを慎重に再評価し、サービス提供のリスクを最小限に抑え、レジリエンスを最大限に高める必要があります」と述べています。

また水の使用量を何らかの方法で測定している回答者はわずか51%で、しかも所有する施設ポートフォリオ全てではなく個別の施設単位で測定しており、サーバーの使用状況を追跡していると答えた回答者は半数以下、二酸化炭素排出量を計算している回答者は3分の1、e-waste(電気電子廃棄物)や機器のライフサイクルに関する指標を追跡している回答者は25%にとどまりました。

プラス面としては、障害の件数が減少したということです。しかし、障害の影響は悪化の一途をたどっています。障害の半数は企業の財務、運用、評価に大きなダメージを与えています。報告書によると10万ドル以上の損失を与えた障害は62%で前回の56%から増加し、100万ドル以上の損失があった停電は15%でした。

Digital Infra Network (Elliot Robinson記者)より抄訳・転載

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