通信事業者によるデータセンター事業の売却【特集】
しかし、データセンターはかつてのように電話会社には適さなくなったという別の理由があります。過去数年にわたってデータセンター業界にも変化があり、データセンターは通信事業者にとって快適な領域からさらに遠ざかりました。
「必要とされる労働力は、通信事業者として必要とする労働力とは大きく異なる。」とBandinelli氏は警告し、データセンターはその進化と汎用化に伴い、従来よりも専門性がより高まっていると付け加えました。
また、最新の状態を維持し、業界全体の規制に適応し、基準を採用し、認証を取得し、 再生可能エネルギー に移行したりするためには、大規模な投資が必要とされます。
これに加えて、エッジのような新しいビジネスモデルが出現する一方で、ハイパースケールプロバイダーは、サービス企業にとっては費用対効果の低い巨大施設の市場を構築しつつあります。
この一連の売却の動きが始まったとき、現在ではCBREの子会社となったデータセンター分析会社 RomonetのZahl Limbuwala氏は、通信事業者は投資要件の変化が彼らの保有するデータセンターの価値を下落させる可能性を見ていたかもしれない、と感じていました。「もしデータセンターが築10年に近づいても大きな再設備投資をしていない場合、厄介な問題に直面するだろう。」と彼は2015年時点でDCDに語っていました。
一部の企業は、非常に大きな収益をもたらす商業不動産の一種としてデータセンターへの投資を行なっています。Limbuwala氏は、新たな投資が必要になる前の10年の「再投資時間」は主要な商業不動産の約半分であり、高コストであるとも指摘しています。
このような悲観的な状況ではあるが、明らかにこの傾向の例外をいく通信事業者は存在します。例えばNTTはデータセンター子会社を複数保有しています。米国ではRagingWire、アジア地域ではNetMagic、ヨーロッパではe-shelter、Gyronを買収し、それらを現在一つのユニットに統合しようとしています。
しかし、NTTは一つの例外であり、同社の手が届く範囲でデータセンターを運用しています。RagingWire CEOのDoug Adams氏は、そのアプローチに関してVerizonやAT&Tなどの米国の電話会社のアプローチと比較しています。「米国の電話会社は非常に近視眼的で、四半期毎の収益にフォーカスしていた。」
「彼らは世界のEquinix、Digital Realty、RagingWireと戦い、そして手を引いた。NTTは、このビジネスを2倍にしたという点で非常に賢明であったと思う。」
独立のデータセンター企業であろうと、NTTデータセンターのように独立運営されている子会社であろうと、世界は市場の要件を満たし、そして有能な技術者を低コストで提供できる純粋なデータセンター事業者への方向に移行しつつあるとBandinelli氏は考えています。
Data Center Dynamics
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