Bahnhof社、ストックホルムの新データセンター向けに原子力発電所の建設を要望
スウェーデンのデータセンター事業者であるBahnhof社が、新設するデータセンターの動力源として原子炉の建設を要望していると地元メディアが報じています。
同社は、ジェームズ・ボンドの悪役の隠れ家のようなPionen施設で有名ですが、ストックホルムのHjorthagen地区の工業用地に小型原子炉(SMR)の計画をまとめており、これにより新データセンターと3万世帯分の電力、および家庭やオフィス向けの暖房を供給するとしています。
Bahnhof社のCEOであるJon Karlung氏は、SVT Nyheterのインタビューに応じ、「私は断固としてこの事業に取り組む覚悟がある。10年後、その可能性は十分にあり得る」と述べています。
この記事の内容では、プロジェクトに関する詳細は乏しく、スウェーデンの大企業20社を対象とした調査結果によると、Bahnhof社は、将来的に自らの需要に応えるための新しい原子力発電所に資金を投入する用意がある3大電気消費者のうちの1社であるとされているようです。その他の原発推進企業は、ガス会社のLinde社と鉱業会社のBoliden社です。
Bahnhofはスウェーデンの各都市に7か所のデータセンターを持ち、現在Hjorthagenに建設中の施設で原子力の利用を検討しています。同社は、ストックホルム中心部の地下にあるPionenデータセンターが有名で、このデータセンターは旧政府の核燃料庫を利用しており、潜水艦から回収したディーゼルエンジンによってバックアップ電源を供給しているそうです。
スウェーデンは、水力発電などの再生可能エネルギーが多く(約40%)、原子炉による発電も約31%あるエネルギー輸出国ですが、それでも電力の28%を石油や石炭でまかなっています。
スウェーデンは、地球温暖化とロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー危機を受け、最近、国内での原子力エネルギーの拡大に対するこれまでの制限を撤廃し、風力発電への新たな投資とともに、原子力研究への2500万ユーロ(2640万ドル)の投資を行うと発表しました。
小型原子炉(SMR)は、歴史的に巨大原子炉プロジェクトの巨額なコスト超過に悩まされてきた原子力発電からリスクを取り除く方法として提案されたものです。一方、SMRは、一元的にテストと承認を受けられる標準的な設計に基づき、工場で信頼性の高い部品を製造し、最終的な目的地に輸送できるようにすることを目的としています。
なお、一部のデータセンター事業者は、このアイデアに関心を持っていると言われています。
この分野のリーダーとしては、米国のNuScale社や英国のRolls-Royce社が挙げられます。スウェーデンにもSMRの専門企業があり、Kärnfull Next社は、フィンランドの電力会社Fortum社と、スウェーデンにおけるSMRの機会を共同で探求する契約を締結しています。Kärnfull Next社は、日本の日立製作所とも連携しています。
一方、スウェーデンのエネルギー企業Uniper社は、同国でのSMRの応用を研究するための助成金を申請しています。
「ここに原子力発電所があれば合理的だ」と、Karlung氏 はニュースサイトの動画の中で述べています。「エネルギーを再利用し、小型原子炉で電気を作り、それをプロジェクト全体のエコシステムとして行うというソリューションを考え出すと良いと思う」
Karlung氏 は、ストックホルム中心部での原子力発電が「挑発的」であることを認めつつも、新しい原子力発電所は都市部の既存のニーズを満たすことができると述べています。「もちろん、政治的な見地から、そのようなことは考えないという考え方もある」と彼は言います。「しかし、10年後、その可能性は十分にあり得るでしょう」
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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