
潮汐エネルギーで稼働する海底データセンター、メイン州沖で建設案
高密度の計算ポッドを海底に設置
アメリカのメイン州沖で、潮汐エネルギーを電力源とする水中データセンターの建設計画が提案されています。
Deep Green Western Passage SPV LLC は、メイン州イーストポート近郊の海域Western Passageにおいて、出力51MWの発電プロジェクトを計画しています。Western Passageはイーストポート近くにある海峡で、大西洋につながる海域です。
同社は連邦エネルギー規制委員会(FERC)に申請書を提出し、Western Passageで環境調査とエンジニアリング作業を実施するための48カ月の許可を求めています。このプロジェクトの詳細は、地元メディアのThe Quoddy Tidesが最初に報じました。
申請書によると、Deep Green Western Passageは海底に「ユニバーサル・ドッキング・クレードル」を設置する計画です。これにより、発電用タービンやAI計算インフラを搭載したデータセンターポッドを接続できるようにします。
初期導入として、170基のタービンと34基のデータセンターポッドを設置する予定です。タービンはサーバーに電力を供給するほか、イーストポートの住民や企業、さらにメイン州およびカナダのニューブランズウィック州に拠点を持つアメリカ先住民族パサマクォディ族にも電力を供給します。
プロジェクトの総事業費は4億1500万ドルと見込まれており、資金はDeepGreen自体の資金と外部投資家によって調達される予定です。
DeepGreenのLouis Wolfsonは、The Quoddy Tidesの取材に対し、同社がアラスカ州のCook Inletでも同様のプロジェクトを検討していると述べました。同社は「実証済みの技術」を活用する方針であり、複数の資金調達方法を検討しているとのことです。
なお、このプロジェクトは英国のスタートアップであるDeep Greenとは無関係とみられ、そちらの企業は英国と米国で地上型のデータセンター施設を開発しています。
水中データセンターはまだ本格的な普及には至っていませんが、海水の自然冷却効果を活用する目的で、サーバーを海中に設置する取り組みがいくつか進められています。
中国企業のHiCloudは、水中データセンターモジュールを商用運用しているとしています。同社は2023年、中国海南省陵水黎族自治県沖の海底約35メートルにサーバーを設置しました。さらに最近では、これらのデータセンターを洋上風力発電に直接接続するプロジェクトも開始しており、500MW規模の海洋展開を目指しているとのことです。
また、データセンタースタートアップのSubsea Cloudは、アジアの海中拠点で13,500台のサーバーを運用していると主張しています。これらのサーバーはAI企業やゲーム業界向けに提供される予定です。同社は必要な許可を取得しており、来年の稼働開始を目指しています。Subsea Cloudは、自社のサーバーが海水温に影響を与えないと説明しています。
一方、NetworkOceanはサンフランシスコ湾で水中データセンターの実証を計画していましたが、許認可の問題に直面していると報じられており、現在は浮体型サーバーの実験を行っているようです。
これらの企業は、MicrosoftによるProject Natickの事例にも注意を払う必要があるかもしれません。Microsoftは2018年、スコットランド沖に海底データセンターを設置する実験を行いました。
この試験システムには855台のサーバーが搭載され、25カ月と8日間にわたり無人で運用されました。性能や信頼性を比較するため、Microsoftは通常のデータセンターにも135台のサーバーを設置し、Azureクラウドを運用するハードウェアとともに比較検証を行いました。
しかし、MicrosoftのCloud Operations + Innovation(CO+I)部門を率いるNoelle Walshは、2024年にDCDの取材に対し、このプロジェクトはすでに終了していると述べました。同氏は「私は世界のどこであっても、海底データセンターを建設するつもりはありません」と明言しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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