チップのリードタイムが20.2週間に達し、半導体の供給不足が深刻化 ~ ぎりぎりの生産状況
チップが届くまでの平均期間が20.2週間に延びたことが、サスケハナ・フィナンシャル・グループの調べでわかりました。前月比8日の増加は同社が2017年に調査を始めて以来、最も長い待ち時間となりました。
新型コロナのパンデミックが始まって以来、世界は長期にわたる半導体不足に悩まされています。
まず、パンデミックによって工場が閉鎖され、サプライチェーンが大混乱に陥りました。さらに、消費者の急激な消費行動変化により在宅でのIT利用やクラウド技術への需要が高まったこともありました。
その一方で一部の企業は、国の経済活動停止で需要が減退すると考え、チップの買い控えがありました。特に自動車業界は自動車の需要変化を見誤り、その後の対応に苦慮しています。
さらに日本の半導体工場での火災、気候変動によるテキサス州での暴風雨の影響、ケーブルの切断事故、台湾での干ばつなど、関連性のない危機が相次いで発生したことも追い打ちをかけました。
それぞれの事件が供給難に拍車をかけました。一方で半導体の生産量はかつてないほど高く、ほぼすべての工場が稼働しており、かつてないほど多くのチップを生産しています。
しかし、この業界は需要の急激な変化にはあまり適していません。製品の複雑さによりチップ工場を設立するには何年もの年月と何十億ドルの投資が必要であり、競争力を維持するためにはさらに何十億ドルも必要です。
現在のチップ不足を受けて世界中の政府が半導体製造に本腰を入れるようになりましたが、この業界は着実に台湾とTSMCにシフトしています。
世界最大の半導体ベンダーTSMCは、3年間で1,000億ドルを投じて生産を拡大すると宣言しています(日本の施設、中国の施設、そしてヨーロッパでの事業の可能性も)。
韓国は4,510億ドル、SK Hynixは1,060億ドルの投資を宣言しました。米国は520億ドルを投入するとしています。EUは生産量を2倍にしたいと考えています。インテルは200億ドルを投じて受託生産に乗り出しており、さらに欧州でも200億ドルを投じる可能性があります。
しかし、これらのプロジェクトが実現するには何年もかかるでしょう。その頃には、現在のパンデミックの需要は減少しているかもしれません。つまり、需要が減ったときに生産能力が急上昇する可能性があるのです。
ムーディーズの副社長兼シニアクレジットオフィサー、リリアン・リーは、「こうした大規模な投資は、過剰生産や非効率な投資配分につながる可能性があります」とフォーチュン誌に語っています。
チップ不足の影響の中でも、バージニア州北部のラウドン郡にある世界最大のデータセンターの拠点で税収が打撃を受けています。この地域のハイパースケールデータセンター事業者は、データセンターへのサーバー導入が遅れており、その結果、同郡の固定資産税が減少しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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