米国最高裁、Itaniumサポート中止したオラクルに対し30億ドルをHPEに支払うよう命令

米連邦最高裁判所はオラクルとHPEの壮絶な法廷闘争に幕を引き、HPEとインテルの双方にとって大きな災厄となったItaniumチップセットのサポートを怠ったとして、オラクルはHPEに30億ドルを支払うべきとの判決を下しました。

裁判所は、インテルとHP(2015年の分社によりHPEに)が生み出し、当初はサーバーで支配的となる見込みだった同チップセットのサポート契約に違反したとして、HPEに30億ドルの損害賠償を支払わなければならないという判決を覆そうとしたオラクルの最終上訴を却下していました。オラクルがItaniumをサポートすることを約束したとする以前の判決も残っているため、オラクルは損害賠償を支払わなければなりません。

2016年、カリフォルニアの裁判所で、損害賠償は後退しました。

Itanic沈没

この訴訟は2011年にさかのぼりますが、Itaniumにまつわる騒動はさらに数十年前にさかのぼります。Itaniumは1990年代にインテルとHPが共同で開発しています。Sun SPARCやIBM PowerのようなRISC(縮小命令セットコンピューティング)プロセッサは、Intel x86ファミリーのようなCISC(複合命令セット)チップに取って代わると予想されていました。HPは、マルチプラットフォームRISCの開発は一企業の手に負えないと考え、IA-64というRISCアーキテクチャをインテルと共同開発し、1999年に正式に発表した際にItaniumと改名しています。

初期の予想ではItaniumは急速に普及すると言われていましたが、懐疑的な人々は「Itanic」と呼び、この名前はThe Registerが取り上げています。

Itaniumの初期バージョンは遅く、性能も悪く、プログラミングが難しいためソフトウェアも限られたものでした。2004年インテル社は、高速なパフォーマンスを提供し、x86と互換性があり、AMD社の研究に基づくいくつかの拡張機能を備えたチップXeonを発表しました。

2011年、オラクルはItaniumを「寿命が近い」ためサポートを打ち切ると発表すると、HP社は、元HP社CEOのマーク・ハード氏がオラクル社に「HPプラットフォームでの製品群の提供」を継続すると約束していたとして、訴訟で対抗しました。

オラクルがItaniumの寿命を告げたのは正しかったものの、このプロセッサは長い時間をかけてようやく沈没しました。HPはエンタープライズ事業をHPEとして切り離した2015年には、沈みゆく客船に残された唯一の乗客となってしまいました。Intel自身も、2017年に最後の新しいItaniumプロセッサ(Kittson)を出してきています。

オラクルにとっての悲しいお知らせは、Itanium没落という事実はそれをサポートすると約束していたという主張への反論にはなりませんでした。HPEにとっての幸運は、この騒動はおそらく技術史上最大かつ最長の失敗作であるものから、実際の収益を得ることで幕を閉じることでしょう。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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