IonQ、ラックマウント型量子コンピュータ2機種を発表

量子コンピュータ会社IonQは、オンプレミス向けの新型ラックマウントシステム二機種の計画を発表しました。同社はこの2機種の量子コンピュータを米空軍に配備する予定です。

同社は今週、IonQ Forte EnterpriseとIonQ Tempoの2機種を 発表しました。両機種とも、既存のインフラに量子機能を統合したい企業や政府向けに設計されたものだと同社は述べています。

同社のウェブサイトによると、Forte Enterpriseは2024年、Tempoは2025年に発売される予定だとされています。

Forte Enterpriseは、2022年5月に初めて発表され、2023年6月にクラウドを通じて利用可能になった既存の32量子ビットシステムのラックマウントバージョンです。この新しいラックマウントシステムは、35アルゴリズムキュービット(#AQ)を提供します。これは、IonQがシステムの性能のベンチマーク指標としているものです。

IonQはまた、初めてTempの詳細についても発表しました。同社によると、これは#AQ 64のエンタープライズグレードのシステムで、従来のコンピュータやGPUでシミュレーションできるものを「はるかに超える」ことができ、IonQ Forteの5億3600万倍の計算空間を提供するとされています。

レンダリングでは、Forteが8ラック構成であるのに対し、Tempoはわずか3ラックとなることが示されています。

「今日の量子性能は、システム・アクセシビリティやスケールの不正確さによって制限されることが多い。TempoとForte Enterpriseによって、IonQはパートナーに対して、量子技術が既存のデータセンター・ハードウェアと手を携えて動作し、2年以内に商業的優位性を獲得できることを示すだろう」とIonQのPeter Chapman CEO兼社長は述べています。

「我々は、量子コンピュータが世界で最も困難な問題に取り組むためのデフォルトのツールセットとなる時点に急速に近づいている。IonQは、企業各社がその瞬間に備えることができるよう、我々のシステムが利用可能であることを確実にするために、先陣を切っている」

IonQは現在、メリーランド州でデータセンターを運営しており、ワシントンに第2サイトを開発中です。また同社は、QuantumBasel社との提携により、スイスに2つのシステムを導入する計画も進めています。

また今週、IoQは空軍研究所(AFRL)との関係を拡大し、量子ネットワーク研究とアプリケーション開発のためにバリウムベースのイオントラップ型量子コンピューティングシステムを2台導入することを発表しました。契約の一環として、IonQはニューヨーク州ローマにあるAFRLの拠点にシステムを納入し、セットアップを行います。

「AFRLは、米国の量子技術を実現し、成長させるためのイオントラップ型量子システムで素晴らしい成果を上げており、産業界が最前線で起こしている技術革新は、我々の兵士たちに革命的な技術をもたらすだろう」と空軍研究所のMichael Hayduk情報部門副所長は述べています。

IonQのChapman CEOは次のように述べています。 「このパートナーシップは、量子コンピュータが国家コンピューティング・スタックの中心的存在になるにつれ、米国の防衛技術の発展に大きく貢献するだろう」

IBMがカナダで量子コンピュータを発表

一方、IBMはカナダで量子コンピュータを導入しました。先週発表されたばかりのIBM Quantum System Oneは、ケベック州ブロモンにあるIBMの施設に配備されています。

この127量子ビットのシステム導入計画は2022年2月に初めて発表され、IBMはこのプロジェクトのためにケベック州政府と提携しました。なお、このシステムは、ケベック州政府とシェルブルック大学が所有する非営利団体「Platform for Digital and Quantum Innovation of Quebec(PINQ²)」によって運営される予定です。

IBMシステムと同様に、Pasqal社の量子コンピューターも、ケベック州シャーブルックに新設される50,000平方フィートの量子スペース(Espace Quantique 1)に設置されることが決まっています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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