米国初のNvidia Blackwellウェハー、TSMCアリゾナ工場で生産開始

Blackwellの量産開始を意味すると表明

アリゾナ州フェニックスにあるTSMCの工場で、米国初のNvidia Blackwellウェハーの生産が開始されました。

Nvidiaはこのニュースを発表した声明のなかで、このウェハー生産はBlackwellの量産開始を意味すると述べています。

Blackwellチップとして顧客に出荷される前に、このウェハーはまず積層、パターニング、エッチング、ダイシング工程を経る必要があります。

ただし、アナリストのMing-Chi KuoのXでの指摘によると、このウェハーは米国で製造されるものの、TSMCのCoWoS(Chip-on-Wafer-on-Substrate)先進パッケージング工程のため台湾へ輸送される必要があり、「そうして初めてBlackwellチップの生産は完了と見なされる」とのことです。

TSMCは米国でのCoWoS工場建設計画を発表してはいませんが、2024年10月にAmkorと覚書を締結しています。Amkorは2026年稼働予定のOSAT工場で、TSMCに対しターンキー方式の先進パッケージング・テストサービスを提供する見込みです。

NvidiaのJensen Huang CEOは、次のように述べました。「これは歴史的瞬間です。近年の米国史上初めて、最重要チップが米国国内の最先端ファブであるTSMCによって米国で製造されるのです。これはトランプ大統領が掲げた再工業化のビジョンそのものです。製造業を米国に呼び戻し、雇用を創出するだけでなく、世界で最も重要な製造業であり、最重要技術産業であるこの分野を強化する取り組みなのです。」

TSMC アリゾナCEOであるRay Chuangは、次のように付け加えました。「アリゾナ州に進出してわずか数年で、米国初のNvidia Blackwell chipを納入するに至ったことは、TSMCの最高の成果です。この画期的な成果は、NVIDIAとの30年にわたるパートナーシップ——共に技術の限界を押し広げてきたこと——と、TSMCアリゾナ実現を支えた従業員および地元パートナーの揺るぎない献身に支えられています。」

アリゾナ工場でのNvidia Blackwellチップ製造に加え、4月にはTSMCは米国施設でAMDの第6世代EPYCプロセッサ(コードネーム:Venice)の生産を発表しました。これはTSMCの2nm(N2)プロセス技術でテープアウトされる初のHPC向けCPUとなります。

この発表を受け、AMDのLisa Su CEOは、TSMCアリゾナ工場で製造されるチップのコストが台湾工場製より「5%超20%未満」高くなるとしつつも、「米国での製造基盤と回復力を確保する極めて有益な投資だ」と述べています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

関連記事一覧

  1. この記事へのコメントはありません。