
英国、量子技術開発で各国と協力
英国政府は、量子技術の開発を推進するため、複数の外国政府と協力関係を締結しました。
この中には、英国の国立量子コンピューティングセンター(NQCC)と、日本の産業技術総合研究所(AIST)との間で締結された覚書(MoU)も含まれます。これは、量子コンピューティング分野における日英間の共同研究および人材交流の促進を目的としたものです。
NQCCは2024年10月に英国ハーウェルで開所した、同国の国家量子コンピューティング研究所であり、英国研究・イノベーション機構(UK Research and Innovation:UKRI)傘下の工学・物理科学研究会議(Engineering and Physical Sciences Research Council:EPSRC)と科学技術施設会議(Science and Technology Facilities Council:STFC)の共同運営によって設立されました。
同センターは、産業界・政府・研究コミュニティのパートナーと協力して活動しており、その主要な資金は英国における工学および物理科学研究の主要資金提供機関であるEPSRCによって拠出されています。
MoUの締結に加え、NQCCは今年、センター内に7基の量子コンピューティング試験機(テストベッド)をすべて導入完了したと発表しました。これらは実運用可能な量子コンピューティングハードウェアであり、イノベートUK(Innovate UK)から3,000万ポンド(約3,900万ドル)の支援を受けています。
政府の発表によると、英国の国立物理研究所(National Physical Laboratory:NPL)内に新たに国家計量学研究所 量子部門(National Metrology Institute – Quantum:NMI-Q)を設立し、G7各国およびオーストラリアと連携して量子分野の研究開発を進めるという。また、英国・カナダ共同資金プログラムを立ち上げ、地上および宇宙における量子通信技術の支援を行うほか、英国・シンガポール共同の量子通信衛星「SpeQtre」が11月10日に打ち上げ予定であることも発表されました。
これらの国際協力は、今週ロンドンで開催される「ナショナル・クアンタム・テクノロジーズ・ショーケース」に合わせて発表されたものです。
さらに、原子兵器機関(Atomic Weapons Establishment:AWE)の研究施設およびストラスクライド大学との協力により、新たな「核防衛・安全保障のための量子センター(Quantum Centre for Nuclear Defence and Security)」が設立されました。また、政府はスコットランドとカリフォルニアの量子・フォトニクス連携(SU2P)を再始動するために30万ポンド(約39万ドル)を投資したことも明らかにしました。
このフォトニクス(光技術)プロジェクトでは、ストラスクライド大学、セント・アンドリューズ大学、ヘリオット=ワット大学、グラスゴー大学の量子研究者が、スタンフォード大学およびカリフォルニア工科大学(Caltech)の研究者と協力し、投資機会の拡大や量子分野での技術革新の早期実用化を目指します。
また、Innovate UKの「Quantum Sensing Mission Primer(量子センシング・ミッション・プライマー)」により、1,400万ポンド(約1,800万ドル)の資金が14のプロジェクトに分配されました。これらは医療、交通、防衛などの分野で応用可能な次世代センサーの開発を支援するものです。
英国の科学担当大臣ヴァランス卿は次のように述べています。
「量子技術は世界を変えつつあります。病気の診断に役立つ超高感度センサーから、現在のコンピュータなら数十年かかる計算を数秒で処理できる新しいタイプのコンピュータまで、応用範囲は広がっています。
英国はすでにこの分野で大きな強みを持ち、多くの革新的な企業が生まれています。今回発表した資金支援や協定は、この重要で魅力的な成長分野を全国的に後押しすることを目的としています。」
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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