
OpenAIがトランプ政権にAI減税を要請、「Classified Stargate」を政府向けに提案
政府からの支援を望んでいることを同社が否定した後のニュース
ChatGPTの開発元であるOpenAIは、現在半導体製造施設に提供されている税制優遇措置を、AIデータセンターにも拡大するよう米国政府に要請しました。
税制優遇に加えて、OpenAIはデータセンター開発のための許認可の迅速化、電力網インフラや人材育成への投資強化、原材料の国家備蓄の創設も求めています。
OpenAIはまた、政府向けの機密データを扱う専用データセンター「Classified Stargate」の構築も提案しました。
CHIPS法の税制優遇をAIインフラにも拡大
Bloombergなどの報道によると、OpenAIはトランプ政権に対し、CHIPS法の税制優遇をAIインフラにも適用するよう要請しました。
OpenAIのグローバルアフェアーズ(最高国際問題)責任者Chris Lehaneは、ホワイトハウスの科学技術政策局長Michael Kratsios宛ての書簡で、政権が議会と協力して税制優遇をAIデータセンター、サーバー、変圧器などの電力網関連設備にも拡大するよう提案しました。
この税制優遇「先端製造投資税額控除(AMIC)」は、2022年に制定されたCHIPS法に基づいており、米国内の半導体製造施設に対して25〜35%の税控除を提供しています。
政府は「AMICの適用範囲を広げることで、実質的な資本コストを下げ、初期投資のリスクを軽減し、民間資本を呼び込むことでボトルネックが緩和され、AIインフラの構築を加速できる」と述べています。
先週、Wall Street JournalのTech Liveイベントで、OpenAIのSarah Friar CFOは、銀行、プライベート・エクイティ、そして政府による「保証」や「支援」を組み合わせた資金調達エコシステムの構築を目指していると発言しました。
この発言は政府支援を求めていると解釈されましたが、後に同氏はLinkedInでその意図を否定し、さらにCEOのサム・アルトマンも「OpenAIのデータセンターに対して政府保証は受けておらず、望んでもいない」と明言しました。
米政府もAI企業への財政的支援には否定的な立場を示しています。
トランプ大統領は以前からCHIPS法による半導体企業への資金提供に批判的であり、インテルへの資金提供を株式に転換するなどの対応を取っています。
「Classified Stargate」構想とその他の提案
OpenAIは、米国の電力網インフラへの投資を呼びかけるブログ記事の中で、データの所在や主権に関する新たな要件、政府向けデータセンターの構築、AIの政府活用の促進、サプライチェーン全体での人材育成などを提案しました。
特に「Classified Stargate」構想では、政府の機密クラウド環境におけるGPU不足に対応するため、民間資本と政府の協力で「認定された機密AIデータセンター」を構築することを提案しています。
OpenAIは「このモデルにより、政府はハイパースケーラーの制約を受けずに、次世代の防衛・情報機能に必要な信頼性の高い高性能インフラを確保できる」と述べています。
米国の主要なクラウド事業者は、政府向けに高セキュリティのクラウドリージョンやオンプレミス(政府施設内設置)型のサービスを提供しています。
OpenAIは、連邦政府の土地や資金を使ったプロジェクトに対する許認可や環境審査の迅速化も求めています。具体的には、国家環境政策法(NEPA)の審査プロセスの加速や、環境への重大な影響がない場合の審査除外、そして水質・大気浄化法に基づく許認可の迅速化を提案しています。
人材育成面では、「Workforce Blueprint(人材育成計画)」を提案しており、AIインフラ企業と地域のコミュニティカレッジ、技術・職業訓練校をつなぐ「AIハブ」を設置し、変圧器製造、HVDC(高電圧直流)システム、高電圧ケーブルの設置、電力網の立ち上げなどのスキルを持つ人材を育成することを目指しています。これらのハブは、連邦政府の「労働力イノベーション・機会法(Workforce Innovation and Opportunity Act)」の資金を活用すべきだとしています。
また、OpenAIは戦略石油備蓄制度を参考に、銅、アルミニウム、加工済みの希土類元素、半導体原材料などの国家備蓄の創設も提案しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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