CrusoeがBoom Supersonicから1.21GWの天然ガスタービンを発注

BoomはシリーズBラウンドで3億ドルの資金調達に成功

AIおよびHPCデータセンター開発企業のCrusoeは、成長するデータセンターポートフォリオに電力を供給するため、Boom Supersonicから1.21GW分の天然ガスタービンを購入することに合意しました。

BoomはCrusoeに対し、29基の「Superpower」タービンを供給します。これは、コンテナサイズのユニットで提供される42MW天然ガスタービンです。Boomによると、このタービンは専用の水供給なしで稼働し、天然ガスとディーゼルの両方で運転可能とのことです。

Crusoeの共同創業者兼CEOであるChase Lochmillerは、次のように述べています。「Boomの革新的なタービン技術は、超音速飛行における同社の目覚ましい進歩を基盤としています。当社では、エネルギー資産と運用全体で実際の性能を向上させ、電力供給開始までの時間を短縮する新たな手法を絶えず模索しています。」

「私たちは、SuperpowerのローンチカスタマーとしてBoomと緊密に提携できることを誇りに思います。この取り組みは、AIインフラの未来を構築するCrusoeのエネルギー優先のアプローチと完全に一致しています。」

Crusoeとの契約に加え、BoomはDarsana Capital Partnersが主導し、Altimeter Capital、ARK Invest、Bessemer Venture Partners、Robinhood Ventures、Y Combinatorが参加するシリーズBラウンドで3億ドルの資金調達を完了しました。同社によると、Superpowerタービンの受注残高は12億5,000万ドル以上に達しています。

この資金はBoomの生産レベルの引き上げを支援する予定であり、同社は、2030年までに年間4GW以上の生産能力の増強を計画しています。このタービンは、ジェットエンジンと同じ技術を基盤としており、過酷な熱条件下でも持続的かつ効率的な高出力を提供するよう設計されていると同社は主張しています。

Boom Supersonicの創業者兼CEOであるBlake Schollは、次のように述べています。「超音速技術は加速装置です。もちろん高速飛行のためですが、今ではAIのためでもあります。この資金調達と、Superpowerの初回受注により、エンジンと航空機の両方を提供するための資金を確保しました。」

Boomは、2014年にコロラド州デンバーで設立されました。同社は「Overture(オーバーチュア)」と呼ばれる超音速旅客機を開発しており、マッハ1.7(時速1,806km、1,122mph)で巡航を想定した設計だとしています。

同社は2022年に、ロールス・ロイス(Rolls-Royce)、プラット・アンド・ホイットニー(Pratt & Whitney)、ゼネラル・エレクトリック(General Electric)といった「ビッグ3」エンジンメーカーから高額な資本コストを理由に拒否された後、独自でターボファンエンジンを開発すると発表しました。それにもかかわらず、同社は2027年に試験飛行を開始し、2030年に商業飛行を実現する予定だと主張しています。しかし批評家は、航空機開発に関連する巨額の資本コストと運用コンセプトの欠如を、商業化への大きな障壁として指摘しています。

Crusoeは、データセンター事業のためにガスタービンの大型発注を複数回行ってきました。同社は以前は仮想通貨マイニング企業でしたが、その後データセンターおよびクラウド事業へと転換しました。現在は、OpenAIの「Stargate」プロジェクト向けにテキサス州アビリーンで大規模キャンパスを開発しており、その一部は天然ガスで電力供給される予定です。

今年初め、Crusoeはサンフランシスコの投資会社Engine No. 1と合弁事業を設立し、GE VernovaとChevronから4.5GW分のガスタービンを調達しました。その後、データセンター向けにGE Vernovaからさらに約1GW分のタービンを追加発注しました。

米国のエネルギーソリューションプロバイダーであるProEnergyは最近、ジェットエンジンをデータセンターの電力供給に再利用する計画を発表しました。10月、同社は、2社の非公開のデータセンター事業者が、建設中および稼働初期の数年間に施設へ電力を供給するため、同社の再利用ガスタービンを使用していることを明らかにしました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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