
Infleqtion、英国NQCCに100物理量子ビットの量子コンピュータを展開
英国政府が国内育成の人材維持を支援するため、10億ポンドの量子基金を発表したのと同時期
量子コンピューティング企業のInfleqtionは、英国ハーウェルにある国立量子コンピューティングセンター(NQCC)に、英国初の稼働可能な100物理量子ビット規模の量子コンピュータを展開しました。
このシステムは2025年12月に納入され、NQCCが前年度末までに100以上の量子ビットを持つNISQ(Noisy Intermediate-Scale Quantum)時代の量子機を展開するという目標の達成を可能にしました。Infleqtionは、2024年に同センターの量子テストベッドプログラムの一環として、NQCCへのハードウェア展開計画を発表していました。
InfleqtionのSqaleプラットフォーム上に構築されたこの100量子ビットシステムは、「基盤となるインフラ」として機能し、研究者や産業界の専門家が、大規模量子コンピュータを用いた先端材料、エネルギーシステム、複雑な最適化などの分野で研究や開発を開始できると、Infleqtionは声明で述べています。
同社によると、Sqaleは国家施設で稼働する中性原子プラットフォームとしては初めての規模です。英国全体の量子エコシステムにおけるサプライチェーンの準備や応用探索を支援するだけでなく、ユーザーが性能評価やアプリケーションのベンチマーク、さらには中性原子システムのスケール方法の研究を行うことも可能になります。
Infleqtionは、2007年にコロラド大学からスピンアウトしてColdQuantaとして設立され、量子技術応用のための機器やシステムの開発・設計を行っています。2025年9月には、Churchill Capital Corp Xとの特別目的買収会社(SPAC)合併を通じた上場計画を発表し、2026年2月にニューヨーク証券取引所で取引を開始しました。
InfleqtionのCEOであるMatthew Kinsellaは、次のようにコメントしています。「NQCCの量子コンピューティングテストベッドは世界的にも初期段階の試みの一つであり、革新を前進させる場です。今回のSqaleによる成果は、中性原子アーキテクチャの進展と可能性を示すものであり、大規模量子システムに向けた重要な一歩です。私たちは、このプラットフォームを通じて量子コンピューティングの発展に貢献し、英国の技術リーダーシップを強化できることを誇りに思います。」
英国政府の科学・研究・イノベーション担当国務大臣であるPatrick Vallanceも、次のように述べています。「Infleqtionの進展は重要な節目であり、英国が研究段階を超えて実際の利用に移行するのを助けています。このような進展は、量子コンピュータが実際に有形の利益をもたらす道を開く上で不可欠です。英国が有する人材と研究専門知識を活かす上で、次の一歩として非常に有望であり、私たちの世代を代表する技術の分野で世界のリーダーとしての地位を確立する助けになります。」
英国政府、国内人材維持のため10億ポンドの量子基金を発表
このニュースは、英国政府が国内育成の量子人材の維持を支援する目的で10億ポンド(約13億ドル)の量子技術基金を発表したのと同時期に発表されました。
2026年3月17日、NQCCを訪問した際にThe Guardian紙の取材に応じた科学・イノベーション・技術担当国務長官のLiz Kendallは、米国のAI分野における支配から学び、英国のスタートアップ、エンジニア、研究者が国外に流出しないようにする必要があると述べています。
「AI分野で起きたことを振り返り、我々の優秀な科学者やスピンアウト企業、スタートアップが英国で活動を続けられるよう支援する必要があります。そのためには、政府が大胆かつ野心的に、未来の技術に自信を持って取り組むことが不可欠です。多くの人々が、資金や支援を得るために米国に移らざるを得ない状況があります」と同氏は述べています。
政府によるこの10億ポンド(約13億ドル)の基金は、科学者、研究者、公的機関、企業が利用できる大規模量子コンピュータの設計支援に使用される予定です。
英国のこれまでの政権も、量子技術分野に多額の投資を行っており、2024年にNQCCを設立したほか、5つの研究ハブや量子キャリアフェローシップ、量子アプレンティス制度に対する資金支援を行っています。
現在の労働党政権も、前保守党政権が2023年11月に発表した5つの「量子ミッション」の実施に注力しています。これらのミッションは、投資と研究のマイルストーンを提供し、英国が量子技術分野で世界のリーダーとしての地位を確保することを目的としています。具体的には、2030年までに全てのNHSトラストで量子センシング対応ソリューションを導入するほか、航空機での量子ナビゲーションシステムやモバイルネットワーク型量子センサーの展開が含まれます。
最後の2つのミッションは2035年までの期限が設定されており、1兆回の演算が可能な量子コンピュータの展開や、高度な量子ネットワークの構築を通じて将来の量子インターネットの実現を目指しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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