オランダNerdalize社、データセンターの冷却水再利用に本腰
オランダのクラウドファンディング・プロジェクトは、€750,000達成を目指す
持続可能で省エネルギーな社会を実現すべく、「 クラウド サーバーの排熱で家を温める」サービスを提供するオランダのNerdalize社が、クラウドファンディングを利用して50戸以上の家を温めるプロジェクトを進めています。クラウドファンディングでは、まず$282,000(約3000万円)を目指し最終的には$847,000(約9000万円)を目標としています。
Nerdalize社は、「CloudBox」と呼ばれるネットーワークに接続されたサーバーを各家庭に設置します。
ユーザーがコンピュータを利用すると、サーバーからの排熱が給湯システムへと接続され、水を温めます。使用電力はNerdalize社が賄い、クラウドサービスもユーザーはデータセンターを利用する必要がないため、非常に安価な値段で利用することができます。
「Nerdalize社は費用のかかるデータセンターを建設する必要がないため、企業や研究者はコストを50%近く削減することができます」と、CEOのB.ルーペ氏は語ります。
排熱は無料
CloudBoxの「計算時と加温時の2回、エネルギーを利用する」というコンセプトは、フランスのQarnot社やStimergy社、ドイツのCloud&Heat社の取り組みと類似しています。
デルフトに拠点を置くNerdalizeは、クラウドファンディングを使い、8月からの実装開始を計画しています。Nerdalize社によると、このサービスにより、一般家庭では最大で年間およそ4万円の暖房代が節約できるようです。
今回の計画は、オランダのEneco社が2015年に行った、一般家庭5戸に対してCloudBoxの初期バージョンを設置するパイロットプロジェクトの成功例に沿ったものです。5年前のこの取り組みは、非常にシンプルなラジエーターを利用して行われましたが、今回Nervidia社が準備したものは「中央暖房システム」から温められた水を循環させて利用することが可能なので、全ての部屋にラジエーターなど暖房を設備する必要は必ずしも必要ありません。
現在、500人以上の人がクラウドファンディングで投資をしており、本記事の執筆段階で$700,000の投資を受けています。Nerdalize社が行った調査では、3500人を超える人がCloudBoxの設置に興味を示したとのことです。
欧州優位
発生した熱を様々な用途へ活用する考え方はマイクロソフトが2011年に発行した「Microsoft Research Paper From 2011」で初めて提言され、報告書の中で「データ炉」と呼ばれているものを介して年間300ドルの節約を示唆しました。このアイデアは、特に欧州の新興企業を中心に広く取り入れられることとなりました。
例えば、フランスのQarnot社は、家庭や学校でBNPパリバ銀行向けの財務計算サービスを提供していて、データセンター運営事業者Data4から投資を受けています。同社のサービスは、データセンターの中央集中化を補完するもの、という見解です。同じくフランスのStimergy社は、3Dアニメーションの制作を事業とする一方で、サーバーからの排熱をパリ郊外の公共温水プールへ提供する「データボイラー」サービスを提供して省エネルギーに貢献しています。ドイツでは、Cloud&Heat社がオフィスビルやマンション用の暖房システムを提供していましたが、ドレスデンの施設( PUE 1.05)等、より集中化されたデータセンターから熱を提供し始めています。エネルギーの再利用を考慮すると、その「エネルギー再利用効果」係数は0.62になります。
-Data Center Dynamics
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