2023年Q1クラウド決算 ~Google Cloudがついに黒字を計上

Googleのクラウド部門は今月、収益74億ドルに対し、1億9100万ドルの利益を計上したと発表し、ついに10年以上ぶりの利益を計上しました。

マイクロソフトは、クラウド部門の継続的な成長(ただし成長は鈍化)に支えられ、今回も好調な決算内容となりました。なお、Amazonは近日中に最新の四半期決算を発表する予定です。

Google Cloud:初の黒字計上

Googleの親会社であるAlphabetが発表した2023年第1四半期のクラウド収益は74億ドルで、2022年第1四半期の58億ドルから増加し、また2022年第4四半期の73億2000万ドルから若干の増加となりました。

この四半期、Google Cloudは前年度の7億600万ドルの損失に対し、1億9100万ドルの利益を計上することに成功しました。

これは、Google Cloudがクラウド収益を独立した項目として区分するようになって以来、初めて計上した利益となります。元々App Engineとして知られていたGoogle Cloudは、2008年のサービス開始以来、15年が経過しています。

また、同社は、コスト配分の方法を変更したことにより、以前報告された損失を縮小し、過去の結果を再表示することを発表しました。(2022年のGCPの損失は以下のように修正された: Q1 $931mから$706mへ、Q2 $858mから$590mへ、Q3 $699mから$440mへ、Q4 $480m から$186mへ)

全体では、収益が697億8700万ドル(2022年第1四半期比10億ドル増)、利益が150億5000万ドル(13億8000万ドル減)となっています。

AlphabetおよびGoogleのCEOであるSundar Pichai氏は、次のように述べています。「第1四半期の業績は、Searchが好調で、Cloudにも勢いがあり、満足している。私たちは、ディープコンピューターサイエンスとAIを軸とした重要な製品アップデートを導入した。我々のノーススター(≒目指すべき方向)は、ユーザーに最も役立つ答えを提供することであり、イノベーションの長い実績を継続することで、この先に大きなチャンスがあると考えている」

同社は、サーバーの想定耐用年数を4年から6年に、一部のネットワーク機器の想定耐用年数を5年から6年に変更したことにより、減価償却費が9億8800万ドル削減されたと述べています。

AlphabetおよびGoogleのCFOであるRuth Porat氏は次のように述べています。「検索サービスのレジリエンス性とクラウドの勢いにより、第1四半期の連結収益は698億ドルで、前年同期比3%増、恒常為替レートでは6%増となった。我々は、コスト基盤を再構築することにより、長期的な成長を実現し、最も魅力的な成長分野への投資能力を創出することに引き続き取り組んでいく」

その後の決算説明会でPichai氏は、同社がインフラをより効率的にするための努力をしていることについて言及しました。

「私たちは、マシンの稼働率を向上させ、機械学習モデルの訓練やサービスを行うための、よりスケーラブルかつ効率的な方法を見つけるなど、コスト削減を実現するための重要な複数年にわたる取り組みを進めている。また、データセンターをより効率的にし、サーバーが十分に使用されていない場所でのワークロードや 設備の再分配を行っている。これは、当社の多くのAI機会を推進するために、インフラへの大幅な投資を続ける重要な作業である」

Porat CFOは、顧客によるクラウド支出の減速が続いていることについて言及しました。 「第1四半期は、引き続き不透明なマクロ環境を反映して、顧客がGCPコストを最適化したため、消費の伸びが鈍化した。業績面では、クラウドの長期的な利益成長を促進することに引き続き注力するとともに、大きな機会を捉えて今後も投資を続けていくつもりだ」

マイクロソフト:成長鈍化の四半期

マイクロソフトは、Azureを擁するインテリジェントクラウド部門の収益を221億ドルとし、前年同期比16%増としました。

その中で、サーバー製品およびクラウドサービスの収益は17%増加し、これはAzureとその他のクラウドサービスが27%収益を伸ばしたことが要因で あると述べています。

なお、2022年第4四半期のマイクロソフトのクラウド部門の収益は215億1,000万ドルでした。

全社の総収益は529億ドルで、前年同期比7%増となりました。営業利益は224億ドルで10%増、純利益は183億ドルで9%増となりました。

マイクロソフトの会長兼CEOであるSatya Nadella氏は次のように述べています。「世界で最も先進的なAIモデルが、世界で最も普遍的なユーザーインターフェースである自然言語とともに登場し、コンピューティングの新時代を切り開いていこうとしている。マイクロソフトクラウド全体で、お客様のデジタル支出から最大の価値を引き出し、この次世代のAIに向けたイノベーションを支援するプラットフォームとして、私たちは選ばれているのです」

「このダイナミックな環境において、営業チームとパートナーが集中して実行した結果、マイクロソフトクラウドの収益は285億ドル、前年比22%増となった」と、マイクロソフトの執行副社長兼最高財務責任者のAmy Hood氏は付け加えています。

オラクル :小規模な基盤から大きな成長

オラクルは、3月上旬に発表した直近の決算(2023年Q3)で、クラウドインフラ(IaaS)の売上高を12億ドル(前年同期比55%増)と発表しました。

同社の四半期総売上は124億ドルで、前年同期比18%増となりました。第3四半期のGAAPベースの営業利益は33億ドルでした。また、非GAAPベースの営業利益は52億ドルで、8%増となりました。

オラクルCEOのSafra Catz氏は次のように述べています。「当社の四半期業績の好調な伸びは、2つのクラウド事業、インフラ、アプリケーションの総収益が48パーセントの恒常通貨ベースで伸びたことによるものです。オラクルのクラウド事業は、現在、年換算で160億ドルを超える収益を上げています。当社の技術的に高度で差別化されたGen2インフラストラクチャー事業は、引き続き超成長段階にあり、第3四半期は恒常通貨ベースで65%増となりました」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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