
環境団体が米国内での新規データセンター建設の一時停止を要求
議会に措置を要請
200の圧力団体からなる連合が、米国の新しいデータセンター建設に対するモラトリアム(一時停止)を求めています。
全国環境団体「Food & Water Watch」が主導するこの連合は、データセンターの認可と建設を禁止するよう求める書簡を議会に提出しました。
禁止措置が必要な理由として、データセンターによる「エネルギーと水資源の膨大かつ持続不可能な消費、そして家庭や中小企業における光熱費の急騰」を挙げています。
署名団体には、米国支部のグリーンピースやフレンズ・オブ・ジ・アース、米国気候行動ネットワーク、さらに数十の地域・州レベルの組織が含まれています。
書簡では次のように述べています。「生成AIや暗号資産ブームに牽引された全米規模のデータセンター急拡大は、現代における最大の環境・社会脅威の一つです。この拡大はエネルギー需要を急増させ、化石燃料による汚染を増やし、水資源に負担をかけ、全国的に電気料金を押し上げています。」
また、カリフォルニア大学とシンクタンク「Next 10」が先月発表した報告書によると、同州のデータセンターに関連する汚染による健康被害は、2019年から2023年にかけて3倍に増加したとされています。同報告書は、州の政策立案者に対し、電力網における再生可能エネルギーの割合を増やす措置を講じ、データセンター運営者に蓄電池などの低炭素技術の利用を促すよう提言しています。
Food & Water Watchのカリフォルニア州ディレクターであるNicole Ghioは、次のように述べています。「カリフォルニア州民はすでに、化石燃料事業者や水を大量に消費する農業企業といった主要な汚染源に直面し、水資源の危機にさらされる一方で、公共料金の高騰に苦しんでいます。そうした状況で、貴重な水をデータセンターに一滴でも与えたり、料金をさらに引き上げることは非常に問題です。唯一の道は、大規模データ産業の急速な拡大を一時停止し、手遅れになる前にあらゆる潜在的な害を調査することです。」
全米で進むAIブームとデータセンターの急拡大は、環境活動家や大規模施設が地域に与える影響を懸念する地域団体からの反対を強めています。
一部の抗議活動は、開発計画に重大な影響を与えています。9月には、QTSがインディアナ州ポーター郡で計画していた20億ドル規模のデータセンターを、地元住民の反対を理由に中止しました。
しかし、過去12か月間にAIブームが米国GDPを押し上げる上で果たした重要な役割を考慮すると、連邦政府によるデータセンターの禁止が実現する可能性は、ほぼゼロと見られています。
小規模な個別市場では、特にシンガポールやアイルランドの首都ダブリン、オランダのアムステルダムなどで一時停止措置が導入されました。これらは、スペースや電力といった様々な理由によるもので、アムステルダムの場合は「データセンターがもたらす悪影響」などでした。これらの制限は現在、いずれも部分的に解除されています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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