フランスのスタートアップ企業Denv-Rが都市部での水上データセンターを計画
フランスのスタートアップが、都会の河川にデータセンターを浮かべようと提案を行っています。
Denv-Rは、河川の水によって冷却される施設を、来年ナントの実験施設を皮切りに立ち上げる予定です。ナントにあるIMT Atlantiqueエンジニアリングスクールを基盤とする同社の創業者2人は、この方法によってエネルギー消費とCO2排出を削減できると述べています。
同社は、2023年6月にナントにあるQuai Wilson島のそばのロワール川にデモンストレーションシステムを浮かべる計画を立てています。
Denv-R社のサイトには限られた情報しか掲載されていませんが、「20 Minutes」の記事によると、このアイデアは、米国のNautilus社が開発したバージ船に似ているようです。Nautilus社は、カリフォルニア州に浮体施設を設置し、またアイルランドでも開発を進めており、さらには米国メイン州では陸上のデータセンターの設置も行っています。
Denv-Rは、このシステムはNautilus社よりも小型で、都市部の河川での設置に適していると述べています。また、ポンプを使わず、受動的に水を循環させることができるとのことです。
IMT Atlantiqueから提供されたレンダリング画像によると、この施設は双胴船のようなデザインで、2つの船体が隣り合っているように見えます。これは、安定性を高めるためと思われます。
Denv- Rは、長さ10m、幅8m、高さ3mほどの200kW規模の施設を計画しているといい、これはコンテナの集合体と同様の規模となります。
レンダリング画像には、ソーラーパネルと風力発電機が描かれており、電力供給は「ほぼ自律的に行える」と楽観的な主張をしています。
Denv-Rによると、この浮遊構造物はリサイクルされた鋼鉄で作られているとのことです。
「我々は、河川から冷水を回収し、閉回路システムによってデータセンターの温度を下げようと考えています。ポンプで水を汲み上げることもなく、他の空調も必要ありません」と、CEOのVincent Le Breton氏とCTOのMaxime Rozier氏は20 Minutesの記事で述べています。二人は、エネルギーとCO2排出を40%削減するという、液体冷却システムの極めて一般的な主張をしています。
都市部の河川敷は土地に代わる良い選択肢になり得るとLe Bretonは述べています。「データセンターはできるだけユーザーの近くにあるのが理想的なので、街中にあるべきです。しかし、都市部では土地は少なく、価格も高い。水上であれば、空きがあるのです」
このシステムは、製造コスト50万ユーロを含む90万ユーロで提供される予定であり、陸上に設置するよりも安価かつ迅速に導入できるとDenv-Rは主張しています。
同社には、他にもいくつかの事業分野があります。同社は、パブリッククラウドとベアメタルサーバーを提供する計画を立てており、またオフィスを含むより大規模なフローティング施設の建設も目指しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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