中国・貴安新区に10数件の大型データセンターが誕生
2014年1月6日、中国の内閣に相当する国務院は、貴安新区を8番目の国家新区として承認しました。
貴安新区は3つの戦略的タスク「 高度なレイアウトを行い、データセンターの建設を開始し、クラウドコンピューティングの青写真の作成に注力」を重視し、ビッグデータの開発を飛躍的な成長のための重要な推進力としています。
ビッグな「ビッグデータ」の推進
2016年2月、貴州省は国内初のビッグデータ(貴州)総合試験区を建設することが承認されました。ビッグデータ産業を推進する上で、貴安は地質学的安定性、冷涼な気候、豊かな生態学的利点、豊富なエネルギーを活用し、世界クラスのビジネス環境を創出し、業界リーダー企業を引き付けることで急速な開発を追求します。
中国で8番目の国家新区であるこの貴安新区には、計画中または建設中の15の大規模・超大規模データセンターがあり、世界最多の超大規模データセンターを持つ地域の1つになります。近い将来、山々に囲まれたこのクラウドセンターは、国の東部からのデータを西部で処理し、デジタルチャイナの開発を加速するという同国のプロジェクトに弾みもつけるでしょう。
貴安新区のビッグデータ開発サービスセンターによると、契約プロジェクトの新規バッチの建設により、データセンターの投資規模は2025年までに1000億元を超えると見込まれています。
新区のクラスター型データセンターには、 Guizhou-Cloud Big Data (貴州大数据) やHuawei Cloud Computingなど、ソフトウェアや情報技術サービスの大手企業が多数入居しており様々なクラウドサービスが急速に展開されています。
統計によると、2021年第1四半期に貴安新区のソフトウエアおよび情報技術サービス産業は24億3000万元に達し、前年同期比で114.71パーセント増加しました。
貴安新区ビッグデータ開発サービスセンターのディレクター、ワン・ジュン氏はこう語ります 。 「貴安新区はデジタル経済開発のための強力な磁場になった。現在、Tencent Guian Seven Star Data Center(テンセント貴安七星データセンター)を中心とする半径4キロ以内、50平方キロメートル以下のエリアに400万台を超すサーバーを擁する12の超大規模データセンターが計画されている。データセンターの平均PUE(電力使用効率)値は1.4未満で、データセンターの平均エネルギー消費は、基本的には国際的先進レベルに達する」
2018年、貴安新区はChina Data Center Industry Development Alliance (中国データセンター産業発展連盟)により、データセンター投資に最も適した都市・地域と評価されました。今年5月には、Guizhou-Cloud Big Data (貴州-クラウドビッグデータ)とApple社が共同で建設したiCloud(貴安)データセンターが正式に稼働しました。
2年の歳月をかけて建設されたこのデータセンターは、グリーンな再生可能エネルギーを完全に使用した中国初のデータセンターです。またグリーン基準の世界的な評価であるLEEDゴールド認証を取得しています。
AIがもたらすもの
中国は超大国化計画の一環として、ビッグデータ分析のグローバルリーダーになることを積極的に目指しており、習近平国家主席は、2030年までに中国をAIのグローバルセンターにすることを明言しています。
中国では、経済、軍事、警察、諜報の各機能を網羅した国家ビッグデータ戦略に基づいた取り組みが進められています。ランド研究所の報告書によると、中国の指導者たちは民間および軍事のさまざまな機能を果たす人工知能(AI)の実現を目指しており、そのためにはコンピュータを使って大規模なデータセットを理解するビッグデータ分析をマスターすることが必要だといいます。
他の省でも政府のビジョンをサポートするために技術的な取り組みを行っています。
広東省は7月データ規制への取り組みを強化し、国境を越えたデータの流れを審査する「データ税関」部門の設立や、広東・香港・マカオのグレーターベイエリアにビッグデータセンターを設置することを検討すると発表しました。
この動きは配車サービス企業Didi Chuxing社(滴滴出行:DiDi)の個人情報管理問題を受けた中国のサイバーセキュリティ規制強化とも関連づけられます。
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