ロシアRostelecomが原子力発電所に隣接のデータセンターを開設

「核の選択肢 」

Rostelecom Data Centers(ロステレコム)は、ロシアのトヴェリにあるカリニンスカヤ原子力発電所の敷地内にあるウドムリャ・データセンターの商用サービスを開始しました。

この施設は、ロステレコムと国営の原子力発電企業の ロスエネルゴアトム との共同プロジェクトです。同社のプレスリリースによると、最初のフェーズで48MWの電力容量と4,800ラックスペースを提供し、ロシア国内で最大のデータセンターになるとコメントしています。

しかし、ホームページ上では、全ての施設の完成は2021年までかかるとしており、現在稼働中の電力容量は13.3MVA、2階建て、410ラックを収容するホールが2つの合計820ラックのみが現在利用可能である事がわかります。そして、2021年末までに、ラック総数は4,000になるとの記載があります。実際の最終総ラック数は4800ですが、800ラックは内部利用されるため、外部顧客へ提供するラック数は4000となります。

平和のための原子力

ロステレコムのクラウドサービス担当副社長であるPavel Kaplunov氏は、次のように述べています。「 ウドムリャ DCは、国内に分散したデータセンターのネットワークを構築する当社の戦略の中で最も意欲的なプロジェクトです。

「 ロスエネルゴアトム社との提携により、セキュリティ、規模、電気料金などの点で独特な施設を構築することができました。クラウドサービスに対する需要は急速に高まっています。ロステレコムのデータセンター事業の収益は、前年比で30%増加しています。」

「このロシア最大のデータセンターは、魅力的な市場レートを提供しながらも、州および企業顧客からの増大する需要に応えることができるでしょう。当社の本格的なクラウドサービスにより、顧客は直ちに保証された品質のコンピューティングインフラストラクチャを使用できるようになります。」

– Rostelecom

ロステレコムは、それぞれ11,500平方メートル(123,800平方フィート)に及ぶ敷地面積を持つ3棟の施設を収容する土地の30年リース契約を結んでいます。

2015年にこの施設の計画が発表された当時は、両社は80MWの電力容量で最大10,000ラックまで拡張すると述べていました。また、データセンターの第1フェーズは2017年3月に竣工する予定で、2018年6月には8000ラックの第2フェーズがオンラインになるとしていました。なぜプロジェクトが延期されたのかは不明です。

– Pixabay

2016年に、この期限は当時のRosatom State CorporationのCEOであったSergey Kirienko氏が、発電所への訪問中に再確認していました。(彼は現在、大統領府の副首席補佐官を務めています)

請負業者のCHD EngineeringのCEOであるEvgeny Goncharov氏は、次のように付け加えていました。「現在のところ、3棟の建物におけるフェーズ0の作業はすべて完了しています。私たちはまた、セキュリティステーション棟を建設しました。管理およびサービス棟は50%完成しています。」

「最初の棟の完成と変電所への接続は、2017年夏に完了する予定です。その後2018年3月までに、モジュールセンターの残りの棟を建設する予定です。」

当時両社は、データセンターは政府のワークロードにも使用されるとしていました。トヴェリ市の知事、Igor Rudenya氏は次のように述べていました。「来年、このセンターが開設されたら、トヴェリ地域のデータベースを新しい運用レベルに移行し、文書管理の自動化や財務フローに役立てる予定です。この展望を非常に喜ばしく思います。」

サイトは隣接する原子炉から(割引かれた電力料金で)電力供給され、原子炉は4基あり、それぞれ最大1,000MWの発電が可能です。

先月、4基のユニットのうち3基がグリッドから切断されました。うち2基は750KVのオープンスイッチギヤの短絡が切断の原因でしたが、もう一基はタービンで使用されるコンデンサのシールに問題がありました。NPP広報センターは、「放射線に関する問題はない、機器の損傷はない」と述べていました。

ロステレコムの拡大戦略

ウドムリャ DCはロステレコムのデータセンターの野望のほんの一部にすぎません。政府の積極的なデータレジデンシー法により、企業はロシア国内のデータストレージへの投資を続け、国内で事業を継続しているからです。

同社は現在、モスクワの3つの施設を中心に、全国で39.3MWのデータセンター電力容量を運用しています。2019年2月、ロステレコムは、同社に次ぎ、ロシアで2番目に大きいホスティングプロバイダのDataLineの買収を目指すと発表しました。その取引は翌月、ロシア連邦競争規制機関FASによって承認されました。

DataLineは2つのモスクワキャンパスにまたがり8つのデータセンターを持ち、4,787架のラックを運用しています。

Data Center Dynamics

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