Google が送電網トラブル時にデータセンターの電力消費を削減するシステムをテスト

Googleは、地域の電力網に負荷がかかる場合に、緊急ではないコンピューティングタスクを他の時間帯や場所にシフトさせることで、データセンターの電力消費を削減するシステムの試験を行いました。

この機能は、2020年に最初のテストが行われた、二酸化炭素排出量が最も少ない場所にコンピューティング処理をシフトさせるプログラムを拡張したものだと同社は説明しています。

システムは現在、台湾、オレゴン州、ヨーロッパ全域のローカル・グリッドへの需要を軽減するために使用されており、今後さらに広範囲に展開される計画です。なお、このシステムがGoogleのサービスに影響を与えることはないと、同社は顧客に保証しています。

「2020年以来、私たちはカーボンインテリジェント・コンピューティング・プラットフォームを使って、グリッド上でカーボンフリーのエネルギーが利用可能な時間と場所にコンピューティングタスクとそれに伴うエネルギー消費をシフトさせてきた」と、グリッド・サービスのテクニカル・プログラム・マネージャーであるVarun Mehra氏とエネルギー分析担当シニア・データ・サイエンティストであるRaiden Hasegawa氏はブログで述べています。

「今、私たちはこのタスクシフト機能をデマンドレスポンスに利用することが可能になった。データセンターでの電力消費を一時的に削減し、必要とされるときに価値のある柔軟性を提供することで、地域の送電網を確実かつ効率的に運用し続けることができるようになる」

ブログによると、電力会社はしばしば、過負荷になりがちな送電網に新たな化石燃料の容量を追加せざるを得なくなってしまうことがあるといいます。デマンドレスポンスについては以前から取り組まれてきましたが、ごく稀にしか実施されておらず、通常は緊急時の措置として実施されているに過ぎません。データセンターもまた、電力会社の意向でオペレーションを変更したがらないことが多々あります。

この数週間に、米エネルギー省は、デマンドレスポンスが送電網への新たな電力投資の必要性を減らす有用なツールになりうることを示唆する調査結果を公表しました。

Googleのスキームは、異なる時間や場所に負荷を移動させる既存の機能を利用し、単に外部の電力会社にそのようなアクションを要求する権限を与えるものです。

「例えば、供給制約を引き起こすような異常気象など、予測されるローカル・グリッド・イベントの通知を送電網事業者から受け取ると、それがいつ、どこで起こるかをグローバル・コンピューティング・プランニング・システムに通報することができる」、とブログには書かれています。「このアラートによって、指定されたデータセンターに対して、グリッドイベントが発生している間、緊急でない計算タスクを制限する指示を時間ごとに生成するアルゴリズムが作動し、グリッドイベントが収まった後に、それらを再スケジュールできるようになる」

いくつかのタスクは他のデータセンターに振り替えられ、また他のタスクは単に延期されます。ジョブは、検索、マップ、YouTube、Google Cloud、Gmailのようなオフィスアプリケーションを含むサービスに影響を与えないように選定される、とブログは説明しています。

このシステムは、天然ガス不足でエネルギー価格が高騰した2022-23年の冬にヨーロッパで試用されました。Googleは、オランダ、ベルギー、アイルランド、フィンランド、デンマークの施設で、午後5時から9時までの一般的なピーク時間帯に、このシステムを使ってエネルギー需要を削減しました。

2022年と2023年の夏には、台湾の孤立した送電網を支援するために、このシステムが台湾で利用されました。台湾電力の指示により、Googleは毎日ピーク時のデータセンターの消費電力を削減しました。

さらに、米国のオレゴン州とネブラスカ州では、熱波や冬の寒波など最近の異常気象の際に、Googleはデータセンターのエネルギー需要の削減を行いました。

こうした試験運用の成功を受けて、Googleはこの技術をより広く活用する計画を立てていると言います。

「米国西部は、システムの信頼性を向上させ続けており、デマンドレスポンス機能は、異常気象の際に、地域や地方に多大な価値をもたらすでしょう」と、ノーザン・ワスコ郡PUDのChris Allen電力資源部長は述べています。 「GoogleとNWCPUDは、最近のパイロット試験で、オレゴン州ダレスにあるGoogleの施設で、前日のDR機能の実証に成功した。私たちは、これらの機能が成熟する中、この柔軟性の拡大・改善に向けてGoogleと協力し続けることを楽しみにしている」

欧州では、Eneco Energy Tradeのコマーシャル・ディレクターLucien Wiegers氏が次のように述べています。「オランダでの前回の試験運用では、Googleのデータセンターの対応能力が実証された。そして、我々は有望な結果を積み重ねるために引き続き協力していく」

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。