インテルが推論ワークロード向けデータセンターGPU「Crescent Island」発表

空冷式エンタープライズサーバー向けに電力とコストを最適化

Intel(インテル)は、推論ワークロードを処理するために特別に設計された、新しいデータセンター向けGPU「Crescent Island(コードネーム)」を発表しました。

Unveiled at the 2025 OCP Global Summitで発表された、このAIアクセラレータは、高メモリ容量と省電力性能を提供すると述べました。

Crescent Islandは、同社が開発中のXe3Pアーキテクチャ(パンサーレイクモバイルプロセッサに採用されたXe3 GPUアーキテクチャの性能最適化版)を基盤とし、160GBのLPDDR5Xメモリを搭載します。

インテルによれば、このGPUは空冷式エンタープライズサーバー向けに「電力効率とコスト効率を最適化」しており、幅広いデータタイプをサポートするため、「Tokens-as-a-service(TaaS)」プロバイダーや推論ユースケースに最適です。

インテルの最高技術責任者(CTO)であるSachin Kattiは、次のように述べました。「AIは、エージェント型AIによって推進され、静的なトレーニングからリアルタイムでどこでも可能な推論へと移行しつつあります。こうした複雑なワークロードをスケーリングするには、適切なタスクに最適なシリコンを組み合わせたヘテロジニアスシステムと、オープンなソフトウェアスタックが必要です。トークン量が急増する中、インテルのXeアーキテクチャデータセンターGPUは、顧客が必要とする効率的なヘッドルームとさらなる価値を提供します。」

新しいGPUの顧客向けサンプルは、2026年後半に提供予定です。一方、インテルは「ヘテロジニアスAIシステム向けのオープンかつ統一されたソフトウェアスタック」を、自社のArc Pro BシリーズGPU上で開発・テスト中であり、「早期の最適化と反復を可能にする」と述べています。

Crescent Shoresは、Gaudi製品がAMDやNvidiaに対抗できなかった後、AIアクセラレータ分野で再び進展を図る新たな取り組みを象徴しています。

インテルは、2024年4月にGaudi 3 AIアクセラレータを発表しました。しかし、2024年第3四半期決算説明会で、当時のPat GelsingerCEOはアナリストに対し、Gaudiの採用が予想より遅れており、2024年のGaudi売上高目標5億ドルを達成できなかったと説明しました。

また、AIデータセンター市場に対応するため、コードネーム「Jaguar Shores」と呼ばれるラックスケールソリューションを開発中です。1月、現CEOのLip-Bu Tanの就任前に、当時暫定CEOを務めていた Michelle Johnston Holthaus(現在は退任)は、同社のロードマップを簡素化しリソースを集中させるため、Jaguar Shoresの前身となる「Falcon Shores」の開発を中止すると発表していました。

当時Michelle Johnston Holthausは、AIデータセンター市場がインテルにとって魅力的な提案であると述べつつも、同市場における自社の立場に満足していないことを認めました。

さらに「AIサーバー向けホストCPUとしては主導的立場にある」としながらも、「クラウドベースのAIデータセンター市場にはまだ実質的に参入できていない」と続けました。

この発表以降、インテルはJaguar Shoresに関する追加情報を一切提供していません。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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