
NTTが英国のデータセンターで節水のために逆浸透膜システムを導入
蒸発冷却システムの水を浄化するシステムを採用
NTTグローバルデータセンター(NTT GDC)は、逆浸透膜として知られる水浄化プロセスをデータセンターの1つで使用し、施設の冷却システムで使用する水の量を削減しました。
NTT GDCは、同社初の持続可能性報告書を発表し、持続可能性への取り組みの詳細と、施設の効率性に関する洞察を提供しました。この報告書の中で、同社は英国の拠点の1つにおける水の消費量を削減するための新たな取り組みについて詳述しています。
英国にあるNTTのHemel Hempstead 3データセンター1では、2022年までに間接蒸発式冷却装置(IDEC)で8万立方メートル以上の水を使用しました。
同社は「給水中のアルカリ性と溶存固形分が高かったため、熱交換器に過剰な排水と塩分が付着し、水と化学薬品のコストが増加していました」と説明し、「逆浸透(RO)システムを導入して溶存塩を95%以上除去し、硬度を維持するために原水を15%ブレンドして戻した後、2023年6月から2024年7月にかけてWUEを1.8l/kWhから1.2l/kWhに削減しました。」と続けました。
同社によると、これにより年間水使用量が35,000立方メートル節約され、年間10万ドルの財政節約につながったとのことで、「軟水化に使用する30トンの塩が不要になり、さらに年間2万ドルの薬品代が節約できました」と説明しています。
NTT GDCの設計担当グローバルリーダーである Steve Campbell-Fergusonは、最近公開されたプロジェクトのビデオの中で、このキャンパスでは冷却にチラーではなく冷却塔を使用し、水を蒸発させて熱を除去していると述べました。
同氏は、「冷却塔内に高濃度の塩分が蓄積され、スケールや腐食の原因となることがないように、残りの30〜40%は排水溝に流さなければなりません。」と話しています。
同キャンパスはイングランド南部に位置し、硬水には重炭酸塩のほか、カルシウム塩やマグネシウム塩が多く含まれています。カルシウムとマグネシウムは軟水器で除去できますが、重炭酸塩によるアルカリ性は別のシステムで除去する必要があります。このプロジェクトでNTTは、このアルカリ性を除去するためにROプラントを設置しました。
ROは半透膜を使って水分子と他の物質を分離します。NTTが導入した装置は、水圧を16バールまで上げるポンプで構成され、水は逆浸透膜の付いたチューブに押し込まれます。この逆浸透膜が塩類を捕捉します。
Campbell-Fergusonは、「つまり、97%の塩分が除去された90%の純水ができあがり、残りの10%の水には、排水口に流す塩分がすべて含まれているのです。ここでは10%の水を排水口へ流していますが、冷却塔から排水口へ流す必要がある量よりはずっと少ないのです。」と話しています。
同社は、Hemel Hempstead施設の夏季のピーク冷却負荷に対応するため、2台のROユニットを設置しており、冬季は約50%の割合で1台のROユニットを使用して操業しています。
NTTには、水システムを使用するデータセンターが約20か所あり、同社は現在、どのデータセンターにROポンプを導入するのが効果的かを検討しています。
「地下から汲み上げた水なのか、湖や川から汲み上げた水なのか、その土地の地質によって場所によって変わる水の水質によって決まるため、サイトごとの評価になります」とCampbell-Fergusonは付け加えました。
NTTデータセンターの排出量が減少
2022年から2023年にかけて、NTT GDCの総エネルギー消費量は3,260GWhから3,500GWhに増加しました。同社の総使用量の約40%は再生可能エネルギーによるものです。
Scope 1、2、3の総排出量は、2,108ktCO2eから2,042ktCO2eに減少しました。Scope 1と3の排出量は増加しましたが、Scope 2の減少によって相殺されました。
また、NTTのデータセンターの12か月平均PUEは1.4から1.38に改善しています。
水効率については、12か月平均WUEは1.01リットル/kWhから0.65リットル/kWhに改善され、蒸発型サイトでは2.93リットル/kWhから2.77リットル/kWhに改善されました。
EMEAでは、稼働中のデータホールの給気温度を24℃から25℃に上げ、冷水供給温度の設定値を20℃から21℃に上げました。また、稼働中のデータホールの差圧設定値を20Paから10Paに下げました。
同社は、「その結果、稼働中のデータホールでは全体平均で37%のエネルギー削減、ファン回転数では平均8%の削減を達成し、毎年840MWhの削減を見込んでいます」と述べています。
NTTはまた、非冷媒冷却ソリューションと代替バックアップソリューションを研究し、データセンターに導入することを目指しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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