マイクロデータセンターは、水冷の時代
データセンターの冷却を専門的に扱うドイツ空調メーカーStulz社は、アメリカで、ダイレクト型冷却技術を導入したマイクロDCソリューションSTULZ Micro DCの提供を開始しました。
この マイクロデータセンター は、48Uラックで、発熱量の60~80パーセントを水冷技術で取り除くことが可能とのこと。(残りの20~40の発熱量は残りの空調ユニットなどで徐熱)
一般のオフィス空間にも導入が可能であり、また、他の冷却機器と連携させながら使用することもできます。今回、STULZはMicro DCに加え、水冷の リアドア冷却 ラック”CyberRack“(19kw~32kw)の提供も同時に発表しました。
好みにあった冷却方法を
Stulz社は、カナダのCoolTISystemsと連携し、ラック負荷に応じた3種類のマイクロDCをユーザーへ提供していきます。
ユーザーは、水冷システムや、ラック横側へ冷却装置がマウントされたシステムなど、Stulz社が提供する冷却ソリューションを自由に選択することができます。高度な冷却技術であることに間違いはありませんが、Stulz社は今回発表したマイクロDCについて「何も、高い技術レベルを有するデータセンターだけがお客様というわけではありません」と述べています。
このマイクロDCで利用するオンチップ冷却方式は、HP、Lenovo、Dell、Huawei、NEC、Intel、SuperMicroをはじめとする主流のサーバーに対応が可能であり、GPU,ARMベースのデバイスにも使用可能、1ラックあたり最大80kwまで徐熱が可能で、冷却には625Wを用します。
また、48Uラックのうち4Uは冷水供給用の機器が使用しますが、残りの44Uはユーザーが自由に使用することができます。サーバーは水冷システムに接続されていても ホットスワップ が可能であり、必要な水温は30度、排出される水は、ビルを温めるのにも十分再利用が可能です。
この水冷システムは、最大120台のサーバーに対応することが可能です。これまでのStulz社の冷却システムは、サイドマウントの48U統合型冷却(水冷、空冷/最大27kw)で、電子制御ファンやマネジメントシステムから独立した状態での管理が可能でした。
水冷システムの時代
エッジゴンピュータや、高性能コンピューター(HPC)需要の高まりによってマイクロデータセンターが出現し、水冷システムはマイクロデータセンターの冷却手段として注目を浴びるようになっています。この背景には、巨大データセンターですでに取り入れられているフロア・空調冷却よりも、水冷システムの優位点を多くのベンダーが指摘していることがあります。
温かい水さえあれば利用できるマイクロデータセンターは、空調冷却よりも導入が容易であったり、一般のオフィスで使用する場合は空調音を気にする必要もなく、更には、埃などが舞う製造業の現場でも利用することができます(参照:Iceotope、持ち運び可能な水冷DC”EdgeStation”を発表)
世界の水冷事情
水冷基準に関しては、アメリカではAquila社とClusteredSystems社が水冷基準を OCP 基準へと提供しており(参照:Aquila社の水冷OCPサーバーデンマークでは高度な水冷技術を有するASETEC社が今年2月に大手データセンターと技術開発で連携、オランダでもAsperitas社が水冷式浸漬システムの展示場を今月からオープンしています。
USA Stulz社のJoerg Desler氏は、「コンパクトなマイクロデータセンターは、どんな環境にも簡単に導入することができるうえ、信じられないような電力使用、性能を実現します。」と語りました。
(参照:2017年版、最新の冷却ソリューション)
既存データセンターの皆様へ、リアドア冷却技術
先にも述べましたが、水冷技術を利用したマイクロDCの発表の一方で、Stulz社は既存のデータセンター向けに「CyberRack」という水冷リアドアラック(19kw~32kw)を提供すると発表しました。
データセンター内部の42~48Uサーバーラックの背面側ドアを、熱交換ドアへと置き換えることで、高密度ラックからの熱を 徐熱 するソリューションです。ラック内のIT機器へ影響を与えることなく、ただラックの奥行きを30mmほど拡張することで、冷却が実現できます。CyberRackには最大5台の電子制御ファンが搭載されており、継続的な温度解析や、 差圧制御 を介してサーバの熱を自動的に制御することが可能です。
-Data Center Cafe
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