D-Wave ニューヨーク証券取引所からの上場廃止に直面

黒字化を目指し、ボーナスを取りやめる

量子コンピューティング企業のD-Waveは、今年2度目となるニューヨーク証券取引所(NYSE)からの上場廃止の危機に直面しています。

同社は今週、10月20日にニューヨーク証券取引所から、同社普通株式の終値平均が連続30取引日にわたり1ドル未満であったため、上場要件を満たしていないとの通知を受けたと発表しました。

D-Waveによると、同社はニューヨーク証券取引所に対し、「株価不足を解消」し、同証券取引所の上場基準に適合するよう復帰する意向であることを通知したということです。

同社は6ヶ月以内に株価を30日間の終値平均1ドル以上に戻す必要があります。

このニュースに関するSEC提出書類の発表の中で、D-Waveはまた、同社の年間現金賞与を取り消すと述べています。

「現金奨励賞与を取り消すにあたり、取締役会は、効率的かつ効果的な事業運営への会社の継続的なコミットメント、収益性達成へのフォーカス、および会社の業界とハイテク業界全体の一般的な市況を含む、多くの要因を考慮しました。当社は、従業員に対して公正かつ公平な報酬を与え、インセンティブを与えることに専心しており、従業員のモチベーションを高め、維持し、新たな人材を惹きつけることを目的とした様々な報酬の選択肢を定期的に検討し、実施しています」 と同社は述べています。

同社が上場廃止に直面するのは今年2度目です。3月、D-Waveはニューヨーク証券取引所から、低水準の取引価格をめぐりニューヨーク証券取引所の取引規則に抵触したとの通知を受けました。7月になって同社は、最低株価の上場基準を満たした後、再遵守の書簡を受け取ったと発表しました。

量子アニーリングを利用した量子マシンを提供するD-Waveは、DPCMキャピタルとのSPAC合併を経て2022年8月に上場しました。

2022年10月に1株当たり8.18ドルの高値をつけた後、同社の株価は急落し、2月中旬から5月中旬まで1ドルを下回っていました。1ドル台に回復し、7月に2.90ドルの高値をつけた後、株価は下落し、9月中旬以降は1ドル割れが続いています。

本稿執筆時点では、同社の株価は0.79ドル、評価額は1億1367万ドルとなっています。

同じ量子コンピューティング企業であるRigettiは、2月にナスダックから同様の上場廃止処分を受けました。同社は、上場要件を満たしたことを公表することはなかったが、5月以降は1ドル以上で取引されてます。

D-Wave は数週間以内に第3四半期決算を発表する予定です。同社の2023年度第2四半期の売上高は170万ドルで、2022年度第2四半期から33万6000ドル(25%)増加しました。

2023年度第2四半期の純損失は2,590万ドルで、これに対して2022年度第2四半期の純損失は1,330万ドルでした。

2023年度第2四半期の調整後EBITDAはマイナス1,490万ドル(2022年度第2四半期はマイナス1,130万ドル)。

2023年度第2四半期の受注は250万ドルで、前年同期比150万ドルの増加でした。

2023年度第1四半期のD-Waveの売上高は160万ドル、純損失は2,460万ドル、調整後EBITDAは1,690万ドルの損失でした。

その他の量子ニュース

Atom Computingによると、同社の次世代量子コンピューティングプラットフォームには、現在1,180個の量子ビットを搭載した1,225サイトの原子アレイが構築されています。このアレイは、来年リリース予定の同社の次期システムに搭載される予定です。

IonQは今週、バリウムプラットフォーム上で29個のアルゴリズム量子ビットを初めて達成したと発表しました。同社は以前、イッテルビウムイオンを使用していましたが、バリウムイオンの方が拡張性が高いと判断したためです。

IonQはまた、クラウドでアクセス可能な量子システム(IonQ HarmonyとIonQ Aria)への24時間365日のアクセスとサポートを提供中です。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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