ソフトバンク、ArmチップのAmpere Computingを65億ドルで買収へ

Ampereはソフトバンクグループの完全子会社として運営を続け、社名もそのまま維持します。一方で、主要投資家であるカーライル(Carlyle)とオラクル(Oracle)は、保有株式を売却する予定です。

Ampereは、高性能なArm CPUを主にデータセンター市場向けに開発しており、現在では主要なクラウドプロバイダーの多くで利用されています。同社は、サーバー市場のハイエンド分野に注力しており、「AmpereOne Aurora」は最大512のAmpereコアを搭載しています。

同社は基本的にArmのISA(命令セットアーキテクチャ)を使用していますが、独自のカスタムコアを開発することで、チップ開発のコントロールを強化すると同時に、Armへのライセンス料も削減しています。

一方、ソフトバンクはArmの筆頭株主であり続けています。Armは、自社のNuvia買収を通じてカスタムコアの開発とライセンス料削減を目指したクアルコム(Qualcomm)を相手取って訴訟を起こしましたが、結果は不成功に終わりました。

さらに、Armは自社のサーバー向けCPUのリリースも計画しており、従来のライセンスモデルを超えて、Ampereを含む自社顧客と競合する製品を開発しようとしています。同社はAIチップの開発も進めているとの噂があります。

ソフトバンクは最近、業績不振に陥っていたAIチップ企業Graphcoreを買収しており、さらに1000億ドル規模の新たなAIチップ事業の立ち上げも検討していると見られています。また、ソフトバンクはOpenAIの「Stargate」の最大の支援者であり、OpenAI自体にも出資しています。

現時点では、AmpereはArmとは別の事業体として運営されますが、長期的な計画についてはまだ明確になっていません。この買収は、規制当局の承認を含む慣例的な手続きを経て、2025年後半に完了する見込みです。

ソフトバンクグループの会長兼CEOである孫正義氏は次のように述べています。 「ASI(人工超知能)の未来には、前例のないコンピューティングパワーが必要です。Ampereの半導体および高性能コンピューティングに関する専門知識は、このビジョンの実現を加速させ、米国におけるAIイノベーションへの私たちのコミットメントをさらに強化するものです」

Ampereの創業者兼CEOであるレネ・ジェームズ(Renée J. James)氏も次のようにコメントしました。 「AIの発展を推進するという共通のビジョンを持つ私たちは、ソフトバンクグループの一員となり、同グループの優れたテクノロジー企業群と協力できることを楽しみにしています。これは当社チームにとって素晴らしいことであり、高性能ArmプロセッサとAIのためのAmpereOne®ロードマップをさらに推進できることをうれしく思います」

なお、ソフトバンクは2021年にオラクルとともにAmpereへの投資を検討していたと報じられました。その際の評価額は80億ドルとされていました。また、Ampereは2022年に新規株式公開(IPO)を秘密裏に申請しましたが、最終的には上場には至りませんでした。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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