
KKRとSingtel、STT GDCを完全買収
アジア太平洋地域のデータセンター事業者を51億ドルで買収
APAC地域のデータセンター企業であるST Telemedia Global Data Centers(STT GDC)が買収されました。
投資会社KKRとシンガポールの通信事業者Singtelは今週、ST Telemedia(STT)から同データセンター事業を完全買収するための最終契約を締結したと発表しました。
両社はST Telemediaが保有しているSTT GDCの残り82%の株式を66億シンガポールドル(約51億米ドル)で取得します。取引完了後、KKRは75%、Singtelは25%の株式をそれぞれ保有することになります。
この取引は、今年これまででデータセンター業界における最大のM&A案件ですが、昨年Alignedの買収に支払われた400億米ドルという過去最高額には及びません。
ST Telemediaの社長兼グループCEOであるStephen Millerは、次のように述べています。「ST Telemediaは12年前、アジア太平洋地域を代表するデータセンタープラットフォームを先駆けて構築するためにSTT GDCを設立しました。また、VIirtusを通じて英国および欧州でも同様に強固なポジションを築いてきました。STT GDCの市場でのリーダーシップと、この期間にチームが創出してきた卓越した価値を誇りに思います。」
STT GDCは2014年に設立され、シンガポールに本社を置くデータセンター事業者です。世界の12の地域に95拠点以上を展開し、20以上の主要ビジネス市場にプレゼンスを持っています。現在のIT負荷容量は合計1.7GWで、将来的なポテンシャル容量は2.3GWに達します。
同社はシンガポール、インド、フィリピン、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、日本、韓国で事業を展開しています。欧州ではVirtus Data Centresを通じて英国、イタリア、ドイツで展開しています。過去には、STTが出資しているGDSを通じて中国本土でもサービスを提供していました。
今回の取引により、コミット済みプロジェクト向けの負債および設備投資を含めた企業全体の評価額は138億シンガポールドル(約109億米ドル)となります。取引完了は2026年後半を予定しています。
KKRは主にアジア太平洋地域のインフラ戦略からこの投資を行っています。
KKRとSingtelは2024年に合計17.5億シンガポールドル(約13億米ドル)をSTT GDCに初めて投資しました。当時、KKRは約14%を保有し、Singtelは4%以上を保有していました。
STT GDCの社長兼グループCEOであるBruno Lopezは、次のように述べています。「本日の発表は、過去12年間に築いてきた強固な基盤の上に立つ、STT GDCの新たな章の始まりです。事業を現在の規模と幅広さに育成・導いてきたST Telemediaの重要な役割に感謝しています。KKRとSingtelによる今回の追加投資は、STT GDCの事業の質と成長軌道に対する強い信頼を示すものであり、明日のデジタル経済を支える重要インフラを提供するという私たちの使命をさらに加速させるでしょう。」
KKRとSingtelがSTT GDCの経営権取得に関心を示しているとの報道は昨年夏に浮上し、Singtelは11月に交渉が進行中であることを認めていました。
KKRは、BlackRock傘下のGIPとともにデータセンター事業者CyrusOneを所有しており、欧州の通信事業者GTRにも出資しています。2023年にはSingtelのデータセンター事業の株式20%を8億米ドルで取得しました。同年、KKRはMubadalaとともに液体冷却企業Cool ITも買収しています。
KKR傘下のCyrusOneは、米国および欧州で40以上のデータセンターを運営または開発しており、アジアへの進出も進め、日本では東京に事業拠点を構えています。
KKRのアジア太平洋共同責任者兼アジア太平洋インフラ責任者であるDavid Luboffは、次のように述べています。「本取引は、高品質なプラットフォームをさらに強化し、Singtelとの戦略的パートナーシップを深化させるまたとない機会です。KKRのグローバルネットワークとデジタルインフラ分野での深い専門性を活かし、STT GDCの持続可能かつ国際的な成長の次の段階を加速させていきたいと考えています。」
Singtelはシンガポール国内で小規模なレガシーデータセンターを複数閉鎖する計画を進めていますが、傘下のNxera部門を通じて同国で複数の大規模データセンターを引き続き運営しています。Nxeraはまた、東南アジア各地で現地パートナーと共同で複数の施設を開発しており、今後数年で総容量を200MWから400MWへ拡大する計画です。
SingtelのグループCFOであるArthur Langは、次のようにコメントしています。「今回の買収は、Singtel28成長計画で掲げたデジタルインフラにおける新たな成長エンジンを拡大するうえで重要な一歩です。ST Telemediaによるこれまでの経営に感謝するとともに、経験豊富な経営陣が構築してきた強固なプラットフォームを今後も拡大していくことを確信しています。KKRも資本パートナーとして参画しているNxeraを含む当社のデータセンター資産ポートフォリオにSTT GDCが加わることで、グループ全体の事業構造が大きく変わり、資本最適化と成長に向けた新たな機会が生まれます。」
ST TelemediaとSingtelはいずれも、シンガポール政府の投資会社であるTemasek Holdingsが過半数を保有しています。
STTはかつて、米国の大手コロケーション事業者Equinixの主要投資家でした。ST Telemediaは2000年にi-STTを立ち上げ、その後米国でEquinixに合併されました。ST Telemediaは一時、Equinixの最大の戦略的株主となりましたが、その後保有株式を売却しています。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
















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