デジタル・リアルティ、スイスのデータセンターにロボット犬「Anybotics」を導入

Digital Realty（以下、デジタル・リアルティ）は、定期点検の手段として、スイスのデータセンターにロボット犬を配備しています。

Anybotics社が最近発表したケーススタディでは、デジタル・リアルティがデータセンターの検査にロボット犬「Anymal」を一年以上にわたり使用していることが説明されています。

Anymalは、Boston Dynamics社のロボット「Spot」に似たデザインの四足歩行ロボットです。Anyboticsによると、それはデジタル・リアルティのチューリッヒサイトで「2022年7月から毎日」検査任務を行っており、HVACなどの特定システムの定期的な監視と測定を行っているとのことです。

同社によると、このマシンは通常、Anymal APIを通じてスケジュールされた毎日9回の検査任務を行い、最大70項目の要素を監視し、2時間の任務で視覚、熱、音響測定を実施しているとのことです。ミッションサイクルを完了すると、ロボットはドッキングステーションに戻り、再充電されるようになっています。

ケーブルが過熱したり、ポンプが過剰に振動したり、不規則な周波数パターンが検出された場合、Anymalは事業者の手動介入を促すための警告メッセージを発報します。LiDARとオンボードLEDにより、マシンは低照度条件や 夜勤時でも動作することができます。

2016年に設立されたAnyboticsは、スイスのロボット企業です。高さ70cm、長さ80cmの同社製マシン「Anymal」は、完全自動化、堅牢化、90分の稼働時間（3時間の充電）で動作するとしています。また、WiFiまたは追加モジュールを使用することで4G/LTEで動作させることができます。検査ユニットには、ズームカメラとサーマルカメラ、マイク、読み取り値を処理するオンボードコンピュータが搭載されています。

「Anymalの支援により、私たちはデータセンターの運用を改善するための新たな革新的方法を創造しています。Anymalは自律的に動作し、人の手を介することなくデータをデジタル配信します。異常を早期に発見するための24時間365日のデータ収集は、データセンターのセキュリティと信頼性を高めます」デジタル・リアルティ チューリッヒのオペレーション・ディレクター、Denis Marusic氏はこのように述べています。

Anyboticsのビジネス開発ディレクターであるKarsten Sausen氏は、「デジタル・リアルティと一緒にこのプロジェクトを開拓し、同社のデータセンター運用の継続的な最適化を支援できるのは素晴らしいことです」と述べています。

Anyboticsは、「それでも人は必要だ」と言及した上で、そのマシンは「定期的な検査任務で取得した一貫した正確な資産・設備データを提供することで、デジタル・リアルティのスタッフを支えている」と述べています。

デジタル・リアルティは現在、チューリッヒで3つの施設を運営しています。2020年に発表された「ZUR」は、11,400平方メートル（122,700平方フィート）のデータセンタースペースと24MWを提供しています。キャンパス全体では合計41MWを提供し、「ZUR2」では6,600平方メートル（71,050平方フィート）、12MWを提供しています。

データセンターで4本足のロボットの利用を模索しているのは、デジタル社だけではありません。ユタ州に本社を置くNovvaは、Boston Dynamics社のSpotロボットを旗艦キャンパスに配備しており、今後さらに展開していく予定であると述べています。また、同社はセキュリティ目的でのドローンの導入も行っており、今後は検査目的でマイクロドローンがデータホールを巡回することも検討しています。

また、メキシコの事業者であるKio社は、データセンターの運用に2台のSpotを導入したことがあり、一方、GlobalFoundries社でもバーモント州のチップファブ工場にSpotが監視目的で導入されています。

オラクルは現在、イリノイ州シカゴのOracle LabsでSpotを活用したデータセンターのトライアルを実施しています。

四足歩行ロボットの開発企業としては、AnyboticsやBoston Dynamicsのほか、中国のXiaomi、Weilan、Unitree、米国のGhost Roboticsなどが挙げられます。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。