サム・アルトマンが支援する熱電池企業Exowatt、5000万ドルの資金調達を確保

AIデータセンター分野での製造と展開を拡大をするため、資本を活用

長期間エネルギー貯蔵(LDES)企業Exowattは、AIデータセンターやその他のエネルギー集約型施設における増大する電力需要に対応するため、P3エネルギー貯蔵システムの米国における製造と導入拡大に向け、5000万ドルの新規資金調達を確保しました。

今回の新たな資金調達は、2025年4月に実施した7000万ドルのシリーズAラウンドの延長となります。最新ラウンドはMVP Venturesと8090 Industriesが主導し、Felicisをはじめ、Florida Opportunity Fund、DeepWork Capital、Dragon Global、Massive VC、StepStoneなど複数の投資家が参加しました。Exowattは以前、OpenAIのサム・アルトマンCEOら出資者から2000万ドルのシード資金を調達しています。

ExowattのP3システムは、太陽光発電と蓄熱を組み合わせたもので、同社によれば負荷源近くに迅速に設置可能な制御出力により、送電網接続への依存度を低減する設計となっています。Exowattは主にデータセンター事業者やエネルギー開発業者から、90GWhを超える商業用需要パイプラインを確保していると述べています。

同社のHannan Happi CEOによると、今回の追加資金は、製造規模拡大と今後の顧客導入を支援するために活用されるとのことです。

また、「投資家やパートナーの支援により、当社の商業パイプラインには現在90GWhを超える需要バックログがあり、米国のデータセンターからエネルギー開発業者まで多岐にわたる」とし、「今後数ヶ月で顧客やパートナーを発表し続けるなか、この新たな資本投資がP3の拡大努力を支える」とコメントしました。

今回の投資ラウンドに参加した投資家らは、投資決定の主要因として、データセンターの成長と送電網拡張の遅れを挙げました。MVP VenturesのAndre de Baubignyは、「AI需要は新たな送電網接続を待ってはくれない」と述べました。

資金調達後、Exowattは国内生産の拡大を計画しています。これは全米のデータセンター事業者が電力供給能力の制約を回避する代替手段を模索しているためです。

近年、複数のデータセンター企業がLDES開発企業を支援しています。5月にはPrometheus Hyperscaleが有機フロー電池開発企業XL Batteriesと契約を締結し、2027年に非公開の施設に同システムを導入予定です。

これに続き、7月にはGoogleがイタリアのCO2電池開発企業Energy Domeと初のLDES契約を締結し、複数の商業展開を支援する方針を示しました。

DCDは、データセンター分野におけるエネルギー貯蔵システムの適用可能性に関する詳細な調査の一環として、Happi CEOに取材を行いました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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