TikTok、アイルランドのデータセンター計画を発表
プライバシー問題への対処として
TikTokを運営する中国のByteDanceは、プライバシー上の懸念と高まる米中間の経済戦争に対応し、ヨーロッパ地域のユーザデータを保存するため、アイルランドに5億ドル(4億2,000万ユーロ)規模の データセンター を建設すると発表しました。
ByteDanceは、中国以外のユーザのあらゆる記録は米国及びシンガポールのデータセンターに保存されている、と述べていましたが、トランプ大統領は、同社に対し、中国当局とデータを共有しているという主張に基づき、 米国子会社の売却あるいは運用の禁止を要求しています。マイクロソフトが現在、米国子会社とカナダ、オーストラリア、ニュージーランド地域での事業買収を交渉中ですが、英国・ヨーロッパでの事業についてはその影響を受けません。
Tiktokのヨーロッパ初となるアイルランド・データセンターですが、その設置場所については発表されていません。同社は2022年初頭までに稼働させるとしています。
ヨーロッパでの存在感
「このアイルランドへの投資額は約4億2,000万ユーロ(約530億円)に上り、数百もの新規雇用を生み出し、そしてこの新たな運用を中心に計画された最新の物理的およびネットワークセキュリティ防御システムと共に、TikTokユーザデータの保全・保護をさらに強化する上で重要な役割を果たすでしょう。」とTikTok CSOのRaymond Cloutier氏はこのようにブログ投稿で述べ、セキュリティ上の不安の緩和を目指しています。
「この新しい地域データセンターは、読み込み時間の短縮などの具体的なメリットを提供します。データセンターの稼働開始後は、ヨーロッパ地域のユーザデータはこの新データセンターに保存されます。」
ByteDanceは、中国以外のユーザデータは米国とシンガポールに保存されているとし、あらゆる請求を拒否しています。ByteDanceは、中国国内では完全な別アプリ「 Douyin(抖音) 」を運用していますが、これについても中国当局とのデータ共有は無いとByteDanceは述べています。
マイクロソフトへの売却の一環として、米国政府に取引仲介料を支払うべきであるといったトランプ大統領の主張など、米国子会社の強制売却は異常な動きです。いずれ(売却もしくは禁止)もトランプの大統領令の権力外に落ちる可能性があり、中国国営メディアがそれを「smash and grab(ショーウインドーを壊してものを盗む)」襲撃として非難したように、中国による反発を受けるでしょう。
TikTokは世界中で常時8億人を超えるユーザを擁し、またヨーロッパでの存在感を高め、現在プライバシー問題の改善に取り組んでいます。英国では2年ほど前から運用されており、2020年初頭にEMEAの「Trust and Safety Hub」としてダブリン事務所を設立しました。先週の7月29日には、TikTokのアイルランド事業会社は、米国の組織であるTikTok Incからユーザデータに関する責任を引き継ぎました。
アイルランドのTikTokは現在、ヨーロッパ大陸のあらゆるTikTokユーザのサービスプロバイダーです。「この開発の一環として、データ保護・プライバシーチームの拡大を続けていく」とCloutier氏は語っています。
アイルランドの産業開発庁(IDA)のCEO Martin Shanahan氏は、今回の動きを歓迎しています。「TikTokがアイルランドにヨーロッパ初のデータセンターを設立するという決定、同社の多大な投資は大いに歓迎する。年初のダブリンでのEMEA Trust&Safety Hubの設立に続き、今やアイルランドは同社のグローバルオペレーションにおける重要拠点である。」
アイルランドは、2016年に米国当局がアイルランドのデータセンターに保管されていたMicrosoftユーザの電子メールへのアクセスを拒否したことなど、データのプライバシー問題に関する長い歴史があります。
TikTokは、サイトの建設承認を得るまで、プロセスの長期化に直面する可能性があります。TikTokが検討している可能性のあるサイトのひとつは、過去Appleがデータセンター建設を目指していたAthenryです。5年間の努力と地元団体からの抗議を経て、Appleは森林地での10億ドルのデータセンター建設の承認を得ましたが、最終的にはデータセンター建設を断念しました。Appleが2019年に1,500万ドルで取得したAthenryサイトは、「すぐに使えるデータセンター開発用サイト」として、2019年10月に売りに出されました。
Data Center Dynamics
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