中国のデータセンターブームの核心は、新技術、イノベーション、持続可能性

9億人以上のインターネットユーザーを抱える中国では、デジタルインフラ市場が活況を呈しています。5G、高度な人工知能(AI)、機械学習(ML)、モノのインターネット(IoT)などの技術に対する需要の高まりが、より信頼性の高いデジタルインフラに対する需要を促進しています。現在、中国は米国に次いで世界第2位のデータセンター市場となっています。

中国のデータセンター市場

Mordor Intelligenceのレポートによると、中国のデータセンター市場は2024年には232万kWに達し、2029年には335万kWまで拡大すると予想されています。中国のデータセンター市場は、年間平均成長率(CAGR)8.97%と、世界最高水準を誇っています。

中国市場では、国内外のインターネット企業が主要なプレーヤーとなっています。Mordor Intelligenceによると、具体的にはChina Telecom Corporation、Equinix、GLP 、Keppel DC Reit Management、Princeton Digital Groupなどが含まれ、これらが合わせて市場の12.58%を占めています。その他の重要なプレーヤーは、Huawei Cloud、Chindata、GDS、VNETなどです。

中国データセンター市場の進化: 東方データ、西方コンピューティング (东数西算)

当初、中国のデータセンターのほとんどは上海や北京などの東部地域に位置していました。しかし、土地やエネルギーなどの資源が乏しいこれらの地域では、データセンターの大規模な開発は持続可能ではありませんでした。

そこで2022年、国家発展改革委員会(NDRC)は「東方データ、西方コンピューティング」(东数西算)という新しいコンセプトを導入しました。この構想は、経済的に先進的かつ人口密度の高い東部地域で、データを生成するというものです。このデータは、土地とエネルギーは豊富だがデータ需要が低い、資源豊富な西側地域で処理されます。気候や地理的条件からも、持続可能なデータセンターの建設は、西部地域の方が適しています。

中国のハイテク大手Huaweiによると、このプロジェクトは、ハイパースケールデータセンターを国家システムとして統合し、コンピューティングパワーの計画およびインテリジェントスケジューリングを強化するとのことです。 ハブノードは、中国東部の北京・天津・河北大都市圏、長江デルタ、広東・香港・マカオ大湾岸地域、中国中部・西部の成都、重慶、貴州、内モンゴル、甘粛、寧夏に建設・展開されます。

Huaweiは今年6月、Huawei Cloud East China (Wuhu)データセンターの正式オープンを発表し、Huawei Cloudの全国店舗とコンピューティングネットワークハブのレイアウト完成を示しました。Wuhuデータセンタークラスターにおけるこの最初のプロジェクトの立ち上げは、「東方データ、西方コンピューティング」戦略において、長江デルタのハブが、中国東部および中部地域に大規模なコンピューティングパワーサービスを提供し、AI産業の発展を強力にサポートできるようになったことを意味します。

中国市場において主要なグローバルプレイヤーの1つであるEquinixも、香港の6番目のデータセンターに、1億2400万米ドルを投資する計画を発表しました。この新たな拡張は、荃湾(チュンワン )の施設に3550台のキャビネットを収容することで、より広い湾岸地域にサービスを提供することを目的としています。

香港経済が低迷するなか、データセンター業界への継続的な拡張と投資は、成長と安定への重要な原動力としてのITインフラの重要性を示しています。

中国の現地通信社が発表した声明の中で、工業・情報技術相である金壮龍は、「データインフラは、実際の経済とデジタル経済を統合するために極めて重要です。」と述べました。

持続可能性の優先

政府は、中国市場におけるデータセンターの分散管理の必要性を認識する以外に、カーボンピークとカーボンニュートラルの達成という目標にも重点を置いています。2030年までにカーボンピークを達成するため、政府は市場内のすべての利害関係者を対象とした徹底的な実施計画を打ち出しました。

中国は2025年までに、データセンターと5Gインフラにおけるエネルギー効率と再生可能エネルギーの利用を大幅に改善できることを目指しています。全国の新しい大規模および超大規模データセンターで、平均エネルギー効率を改善し、1.3未満にすることを目指しており、全国のハブノードはさらに1.25未満に低下させ、4A以上のグリーンおよび低炭素評価を達成しようとしています。

また、従来の方法で持続可能なデータセンターを推進する以外にも、より持続可能なデジタルインフラを構築するため、革新的な方法も模索しています。今年7月、中国は海南省に初の商業用水中データセンターを正式に建設することを発表しました。冷たい海水から得られる電力を利用して冷却することで、エネルギー消費量を大幅に削減する予定です。

投資が増え続け、技術革新が進むにつれて、技術的進歩と持続可能な開発の両方におけるリーダーとしての中国の役割は強化され、世界のデジタル経済における重要なプレーヤーとして位置づけられることになるでしょう。

W.Media (Aurora Tang 記者)より抄訳・転載

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