政府の非難を受け、カカオはレジリエンスの強化に多額の投資を約束

データセンターのバックアップ予算を3倍に

韓国のオンライン大手カカオは、韓国人の生活に大きな打撃を与えた10月のカカオサービスの障害再発を防ぐために、バックアップとレジリエンスに多額の投資を行うことを約束しました。

同社は今後5年間、過去5年間の支出額と比較してバックアップに3倍の投資を行う計画であると、同社の幹部が年次開発者イベント「if (Kakao) dev 2022」にて報道陣に対して明らかにしました。 このイベントは、科学技術情報通信部が10月15日の障害についてカカオの災害復旧計画の拙さを非難し、早急な対応を命じた翌日に行われました。

カカオのオンラインサービスのすべては、これらが収容されていたPangyoデータセンターで発生した火災により、5日間ダウンしていました。この施設はSKグループのサービス部門であるSK C&Cが運営しており、火災はSKグループの別の会社が提供したリチウムイオン電池が発端となりました。同省は、SKグループには防火対策の不備があった可能性があり、またカカオに対してはバックアッププロセスが機能していなかったと厳しく批判していました。

カカオのメッセンジャーアプリ「カカオトーク」は韓国人の84%(人口5100万人のうち4300万人)が利用しており、第三者サービスによる認証にも広く使われているため、長時間にわたる障害は、旅行や銀行へのアクセスに支障をきたすなどの問題を引き起こしました。その結果、カカオは損害を被った顧客から訴訟を受けています。科学技術情報通信部は、およそ10万件の訴訟が提起されていると見積もっています。

カカオの緊急対応委員会の共同議長であるKo Woo-chan氏は、この日のメディア向けプレゼンテーションの中で、「今後5年間は過去5年間の3倍以上の額をサービスの安定化と災害復旧プロジェクトに投資していく」と語りました。

しかし、この幹部は過去および今後の支出額に関する具体的な数字を示さず、プレゼンテーションの中で語られたバックアップ計画も曖昧なものでした。

「カカオのESGの最優先事項はサービスを安定的に提供することだ」とWong Namkoong氏がイベントの中で語ったとThe Korea Heraldは報じています。「 弊社の(サーバーの)二重化対策は、未完全な橋のようなものだった。今後、このような事故が起こらないように最大限の努力をする」

聯合ニュースによると、同社は「全サーバーに複数のバックアップストレージシステムを設置する」と表明しているといいます。これは、「1台のサーバーが障害を起こした際に、2台のサーバーが正常に動作するための多重バックアップシステム」を提供するものだそうだが、引用文にはそのサーバーがどこに設置されるかは明記されていません。

今週、同省はカカオトーク向けのバックアップサーバー用として別のデータセンターを設立し、より良い対策を講じるよう同社に指示しました。カカオの回答には、複数のデータセンターが指定されていますが、これらの施設がいつ稼働するかについては言及されていません。

カカオは、2023年9月に京畿道安山市に4600億ウォン(3億5000万ドル)を投じて新しいデータセンターの建設を進めています。The Korea Heraldによると、カカオは複数の対応システムを備えるとしており、当初の設計のインフラ仕様を強化すると約束したといいます。

この新データセンターは、3つの施設を含む災害復旧アーキテクチャの一部となる予定です。しかし、新データセンターの運用開始は2024年であり、それまでどのようにバックアップを提供するのか、カカオは明言していません。

また同社は、賠償計画についても発表していません。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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