韓国政府データセンター火災による過失致死傷罪で5人を起訴

「無資格作業員が安全手順を遵守せず」と警察は主張

先月韓国で発生した政府データセンターの大規模火災を受け、5人が業務上過失致死傷罪で起訴されました。警察は、資格を持たない作業員がバッテリーを移動しようとしたことがきっかけで火災が発生したとみています。

9月26日に韓国・大田(テジョン)市の国家情報資源管理院(NIRS)センターで発生した火災では、384個のバッテリーセルと複数のサーバーが焼失し、韓国のデジタル公共サービスの大部分が停止しました。当局によると、現在60%のサービスは復旧しましたが、その他のシステムの復旧作業は継続中であるとのことです。

復旧作業が続くなか、大田広域市警察庁は火災の原因を調査してきました。韓国中央日報が報じた声明によると、火災に関連する業務上過失致死傷罪で5人が起訴され、これまでに4人が事件に関連して拘束されたとのことです。

警察発表では、NIRS職員1名、プロジェクトマネジメント会社従業員1名、建設会社従業員3名が起訴されました。警察は火災について計29人を事情聴取しました。

火災は、5階のデータホールから建物の地下室へリチウムイオンUPSバッテリーを移設する作業中に発生しました。

DCDが以前報じたように、警察に提出された目撃証言によれば、火災発生時には建物の主電源は遮断されていたものの、データセンターの無停電電源装置(UPS)バッテリーバックアップシステムに接続された補助電源システムは遮断されていなかったようです。

捜査当局は、作業員が安全手順を遵守せず、また必要な絶縁材を使用せず、移動前にバッテリーを完全に放電させなかったため、火災リスクが高まったと指摘しています。作業スタッフは資格がなく、バッテリー移設の経験もありませんでした。また、プロジェクトの請負業者はコスト削減のため、バッテリーメーカーにも相談していませんでした。

さらに、バッテリー移設作業は違法な下請け契約で、プロジェクトを入札した2社が、韓国の法律に違反して他の3社に作業を転託していたことも明らかになっています。警察によると、元受け業者2社はプロジェクト従事者を自社直接雇用に見せかけるため、雇用記録を改ざんしていたとのことです。

火災に関する調査は11月に終了予定で、警察は請負業者への起訴を検討中です。

警察当局は「火災の正確な原因は科学捜査後に判明するが、規則違反や違法下請けについては引き続き調査し、責任者を追及する」と述べています。

現在ほとんどの公共サービスは復旧したものの、火災の影響はしばらく続くとみられます。火災で破壊され、バックアップのないドライブに保存されていた政府データ最大858TBは永久に失われたと推定されています。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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