中国の記録的な猛暑が送電網に影響、四川省は工場閉鎖を指示

欧米の熱波や送電網問題に続き、半導体・リチウム・太陽電池にも影響

中国では過去60年間で最悪の熱波により、家庭やオフィスのエアコン使用が増加し送電網に負担をかけています。

無秩序な停電を阻止するため、四川省当局はすべての工場に6日間の操業停止を命じました。この措置は半導体、リチウムマイニング、ソーラーパネルなど、すでに脆弱な業界のサプライチェーンに影響を与えるでしょう。

テキサス・インスツルメンツ、インテル、オン・セミコンダクタ―、フォックスコンなど、同州に工場を持つ半導体企業は数多くあります。

しかし米中間の緊張のため、これらの施設は主に古い技術を使っています。昨年、インテルは成都の施設を拡張してシリコンウエハーを製造することを希望しましたが、ホワイトハウスから「強く阻止された」といいます。

テキサス・インスツルメンツの工場は2010年に立ち上げられ、300mmウェーハを開発しています。UTACの成都から別の工場を買収し、200mmウェーハを製造しています。

オン・セミコンダクターは1999年にモトローラから買収した楽山の工場を運営しており、集積回路のパッケージングに注力しています。

フォックスコンは四川省でAppleの時計やコンピュータを組み立てており、そこでいくつかの半導体部品を製造しているようです。

この工場閉鎖の影響は不明です。電子部品メーカーのBOE Technology Groupは、国営メディアのGlobal Timesに対し、「停電は、評価の結果、会社全体の営業成績に悪影響を与えることはない」と語っています。BOEは同州で半導体ディスプレイの生産ライン4基を運営しています。

半導体メーカーが同省に注目する理由の1つは、重要な部品であるポリシリコンの多くをここで生産していることです。

世界最大のポリシリコンサプライヤーであるTongwei(トンウェイ:通威太阳能) は、送電網の問題で主要工場を停止し、すでに高騰しているポリシリコン価格が上昇すると予想されています。四川省は、中国の工業用シリコン生産の約6分の1を担っていると考えられています。

またポリシリコンは太陽電池パネルの製造にも欠かせませんが、その生産拠点である四川省には、Jinko Solar(ジンコソーラー)、GCL Tech、Qingdao Gaoce Technologyといった企業が進出しており、一時的に操業を停止しています。

四川省はリチウムの主要供給地でもあり、中国のリチウム電池大手CATLが運営する工場も影響を受けています。同社は、テスラやシュナイダーエレクトリックなど、エレクトロニクス業界の多くに供給しています。

その他、吉利汽車、トヨタ、長城汽車などの自動車会社や、肥料・化学業界も影響を受けています。



この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。



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