暗号通貨「チア」の影響でハードディスクメーカーの株価が急騰

Western Digital(ウェスタン・デジタル)とSeagate(シーゲイト)の株価が、Chiacoin(チアコイン)の影響で急騰しています。

この暗号通貨は、ビットコインやイーサリアムに見られるようなプロセス集約型のマイニングではなく、デジタルストレージ領域をマイニングを行う上で必要とします。チアでは、プロットと呼ばれるハードディスク上の100GBのクラスターを使用します。プロットが多ければ多いほど、コインを獲得する確率が高くなります。

今年初めの発表以来、チアの価格は280億ドル近くにまで上昇しました。しかし、これが新しい大容量ハードディスクドライブ(HDD)やSSDの需要を誘発し、アジア地域では在庫が不足する事態が発生しています。

そして、現在入手可能なドライブの価格は大幅に上昇しています。

高まる需要、そして暗号通貨が成功した場合には更なる需要が見込まれることから、ウエスタンデジタル(WD)とシーゲイトの株価はそれぞれ24%と19%急上昇しました。

投資家らは、ストレージ業界でもGPU市場と同様に需要が急増し、売上の急増をもたらすことを期待しています。

億万長者のイーロン・マスク氏が突然、ビットコインが環境に大きなダメージを与えていることに気づき、それまで大々的に宣伝していたビットコインに反対するツイートを始めたタイミングで発表された「チア」はビットコインに代わる環境に優しい通貨として、特に人気を博しています。

しかし、チアは他の暗号通貨に比べて計算量が少ないとはいえ、コインのマイニング目的のみに使用されるHDDやSSDに依存しており、依然として環境への負荷は大きいと言えます。これらの製造過程では多くのCO2を排出し、マイニングを実行するには、全く暗号通貨を使用しない場合に比べてかなり多くの電力を必要とします。

ここ最近のチアに対する批判や供給問題、小型ドライブにダメージを与える可能性があるといった懸念にもかかわらず、チアは急速に成長を続けています。5月12日の記事執筆段階では、マイナーは390万テラバイトのストレージスペースをチアに使用していました。しかし本稿執筆時点では、それは640万テラバイトまでに増加している状況です。

BitTorrent(ビットトレント)プロトコルを開発したことで知られるクリエイターのBram Cohen氏は、このプラットフォーム上でのプロット/マイニングが安定するには、「100 Exbibytes(115エクサバイト)」程度のストレージが必要になるであろうと述べています。

Data Center Dynamics

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