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5Gの失敗【特集】

5Gは革命になるはずでした。しかし今でも大きな進化すらありません。

2020年も終わり、2021年が始まりました。昨年は、少なくともパンデミックが始まってからは、優先順位を見直し、環境を整え直し、新しい生き方に適応するといった激動の年でした。

本来なら昨年は5Gが幅広く普及し、その驚異的な速度や広大な帯域幅で一大ブームを巻き起こすはずでした。特定の実例はありましたが、5Gの実際の結果は迫力に欠け、悪く言えば前世代のモバイル通信と比べて改善が見られなかったと言えるでしょう。

歴史的に、モバイル通信の世代交代には常に数年かかっていました。5G標準は、以前のネットワーク標準とある程度の相互運用性があったおかげでより迅速に採用されましたが、真のスタンドアロン5Gの展開がカタツムリのようにスローペースで進む中、5Gが業界や市場を再形成するという考えをくじき始めています。

5Gには、NSA方式(Non Stand Alone: 非スタンドアロン)とSA方式(Stand Alone: スタンドアロン)の2つのバリエーションがあります。現在展開されている5Gの大部分は、NSA方式であり、制御チャネルをLTE(4G)に依存しています。

果たされていない約束

この2つの方式の違いを簡単に説明すると、NSA方式の通信はLTEの制御下にあり、デバイスが要求する場合にのみ5Gに切替えるという仕組みです。

要するに、そのデバイスへの接続は5G NSA機器を介して行われます。このアプローチは、少なくとも理論上では、5Gの速度で適切なデータ転送を開始できることになりますが、アイドルモード管理やモバイル制御などの5Gが持つあらゆるインテリジェント機能は除外されます。つまり、実際には5Gではなく、4Gとの中間に位置づけられるものであると言えます。

ただ、非常に僅かですがSA方式の5G通信が日の目を見るようになってきました。米国では、T-Mobileが2020年8月4日に全国的にSA方式を実現した最初の事業者となり、その後すぐにVerizonが続きました。

英国では、Vodafoneがコベントリー大学でショーケースを開催した際に、最初のSA方式の発表がありました(大都市圏での現実世界のシナリオからは程遠い)。

多くの理由により、真の5G通信の普及は、予想よりもはるかに遅れており、その中でも最も重要な理由は政治的な影響です。米国がHuaweiを国家安全保障上のリスクであると判断したことで、すでに導入段階であったプロジェクトを含め、多くの5Gプロジェクトが停止に追い込まれました。その後これらの通信事業者らは他のベンダーに切り替える必要もあったため、すべてを再設計し直し、そして再交渉を行う必要がありました。

想定通り、Covid-19も遅延を引き起こしましたが、パンデミックは当初考えられていたよりもはるかに広い影響を及ぼしました。外出制限やロックダウンは、平均的な消費者の購買力や流動性を押さえつけ、需要の減少と同時に、供給側の労働力の制約を引き起こしました。

これらの問題を考慮して、事業者らが5Gの展開を遅らせているのが現状です。

5Gは4Gよりも多くのアンテナを必要とすることが判明しました。そしてそれが問題であることが証明されました。5Gはより高周波数帯域を使用するため、より短波長に依存し、建物などの障害物を透過するのが困難です。

これに対応する1つの方法は、特に5G向けにより多くの通信アンテナを互いに近づけて設置することです。

しかし、これを実現しようとすると、事業者は初期投資費用を考慮しなければならず、そして、将来5Gアンテナ設置が計画されている地域の近隣住民から驚くべきレベルの反発に直面しています。

エッジとインダストリアル・エッジを真に解き放つテクノロジーとしての5Gの将来は不確かです。真のSA方式の5G通信網を構築するには、あらゆる街灯に基地局を設置するための多額の投資と、以前の通信網との相互運用性を提供するソフトウェアの標準化が必要となります。

この遅延の間、事業者は、すでに開発段階にある技術が、5Gが現在目指している方向性を変えるのではないかと疑問に思っています。

Wi-Fi 6を含む新しいWi-Fi規格は、データレートが向上し、多くのニーズを満たすのに十分な密度があります。一方、衛星インターネットのスタートアップ企業らは、 機器の導入を急速に進めており、100Mbps超の速度を主張しており、これはもう1つの(やや意外な)オプションとなっています。更に、近い将来、私たちの多くが自宅で仕事をするようになると、通信はモバイル通信から自宅のWi-Fiがメインとなり、5Gの普及が更に遅れてしまうかもしれません。

残念ながら、5Gに対する一般の認識を変えようとして、通信事業者はその機能を積極的に誇張してきました。Verizonは、ARおよびVRツールを活用した、癌治療の遠隔診療として売り込み、「すべてに革命を起こす」と主張していました。

しかし、米国の医療機関の大多数は既にVerizonが約束したギガビット速度と低遅延のWi-Fiあるいはイーサネット環境を使用している、と専門家が指摘したことでこの主張は暴かれました。

5Gを利用できる消費者にとってさえ、それは期待外れでした。5Gはまだ完全に洗練されてはおらず、5G対応デバイスはより高価であり、4Gと比較してより高い消費電力も必要とします。エンドユーザにとってのメリットは僅かです。

そして、5Gが到来する前でさえ、話題を6Gにシフトすることによって、5Gを時代遅れに聞こえるようにしている人物もいます。最近のIEEE 5G ++オンラインサミット・ドレスデン(IEEE 5G++ Online Summit Dresden)で、Ericssonの主任研究員であるMagnus Frodigh氏は、セッションの中で「The Journey to 6G」と名付けた同社のビジョンを打ち出し、「Internet of senses」と超高周波帯域で動作するネットワークを約束し、2030年代初頭にゼロコストセンサーを商用利用とすると発表しました。

現状の結果で5Gを判断すると、せいぜい控えめな進化でしかなく、私たちに約束された革命からはほど遠いものです。これは、5Gの約束が決して実現しないということではありませんが、SA方式の5G普及に移行するには事業者の協力が必要です。

疑問は残ります、5Gは未来でしょうか?答えるのは時期尚早です。

Data Center Dynamics

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