厳しい状況下でのエッジ展開【特集】

エッジはまだ初期段階だが、コロナ禍の中で課題に直面している

エッジコンピューティング は、Covid-19パンデミックやロックダウンが始まる前に、既に素晴らしいスピードで成長していました。しかし、人々が在宅勤務、子供たちが在宅学習に移行する中、世界的な危機は、販売や導入を落ち込ませるよりむしろ エッジの展開に拍車をかけたと思われます。

コンサルタント会社Frost&Sullivanによると、一般企業の90%は2022年までにエッジコンピューティングを利用するようになり、マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)市場は2019年のわずか6,410万ドルから大幅に拡大し、2024年には72.3億ドルに達するだろうと予測しています。

また、IDCの最近のデータセンター運用に関する調査では、回答者の72%が、コロケーション利用を今後12か月で増やすと回答しています。更に、回答者の79%がエッジロケーションでより多くのITサービスの展開を計画し、そして40%は彼らのエッジ戦略をアウトソーシングする計画を考えているようです。

「企業は集中型データセンターの限界を認識しており、リアルタイムアプリケーションの遅延を抑え、通信コストを最小化し、そしてAIなどのデータ集約型ワークロードが必要とする規模を実現する方法としてエッジコンピューティングを検討している。この傾向が続く中、IDCは、2023年までには、新規の企業ITインフラの50%以上は、企業内データセンターではなくエッジに導入されるだろうと予測する。これは、現在の10%未満からの大幅な増加である」とIDCのEdge戦略部門のリサーチディレクターであるDave McCarthy氏は述べています。

エッジの事例

このようなすべての動きは、エッジの成長から利益を得る立場にあるベンダーにとっては良いことですが、盲目飛行状態でもあります。エッジはまだ大部分で立証されていません。エッジの展開は全く別物であるため、事業者がデータセンターでの運営の中で数十年かけて蓄積してきた経験をそのまま活用できるわけではありません。

さらに、エッジは、 レジリエンス (復元)力やアップタイム(稼働時間)の保証など、データセンターで数十年にわたって使用されてきた認証の観点ではかなり遅れており、これは成長痛のように厳しい時期であると言えます。

しかし、エッジは成長し、エッジデータセンターの設計にはすでに1つの注目すべき変化があるとMcCarthy氏は述べています。当初、人々はEdgeConneXかSchneider Electric製の高耐久性コンテナ内に自身の小規模データセンターを構築していました。それは完全にオーナー専用施設でした。

しかし現在では、複数のテナントを抱えるマネージドサービスとして提供されるエッジデータセンターが増えてきています。「それはコロケーションの拡張のようなものだが、ハイパースケール施設でのコロケーションを構築する代わりに、それらはより小規模となる。そこでVapor IOのような企業が出てきた。戦略は、サービスが十分に提供されていないエリア、データセンターの容量を必要とするTier 2 / Tier 3市場を探すことだ」と彼は述べています。

Vapor IOのCEO, Cole Crawford氏は、次のように説明しています。「我々は顧客のニーズに基づき、複数のサイズを提供している。ある顧客は単独テナントを希望しているが、1/4ラックの利用を気にしない顧客もいる」と彼は言います。

展開戦略の変更

もう1つの変化は設置場所です。初期のエッジサイトは、しばしば携帯電話基地局の足元に配置されていました。

「初期の展開はハブアンドスポーク方式であり、レジリエンス力はあまりなかった」とMcCarthy氏は言います。「今では、よりクラウドのようになってきている。彼らはハードウェアとソフトウェアを使用してマイクロサービスに移行し、ネットワークにレジリエンス力を追加している」と彼は言います。

もしそれが基地局内にある必要がない場合、一部のエッジは従来のデータセンター内に移設できます。エクイニクスは自社施設、一般的なデータセンターキャンパス内の大規模な既存施設内にエッジを展開していると主張しています。「エッジの導入は、コンピューティングとユーザが近接しているため、レスポンス時間を向上させる一般的な概念になりつつある、我々の既存データセンター顧客は、エンドユーザに近づくために我々と共に導入を行い、そして我々の相互接続指向アーキテクチャは遅延要件の多くに対処できる」エクイニクスのビジネス開発部門バイスプレジデントのJim Poole氏はこのように述べています。

一方、Vapor IOは攻勢をかけていますが、必ずしも基地局に固執しているわけではありません。Vapor IOのCMOを務めるMatt Trifiro氏は、次のように述べています。「新たな地域で最初に行うことは、光ファイバの集約ポイントに注意を払いながら、すべての光ファイバルートを特定することである」

もはや基地局にデータセンターを置く必要はない、と彼はDCDに対し以前話していました。「実際、しばしばそれは優れたアイデアとは言えない。 レイテンシ (遅延)を1ミリ秒未満にするには各データセンターをより近くに置く必要がある。1つの基地局だけでなく、複数の基地局、場合によっては数百の基地局にも対応する必要がある」

混乱が増しますが、レジリエンスの権威であるUptime Instituteのグローバルプログラムのシニアバイスプレジデントを務めるLuca Beltramino氏によると、Covid-19パンデミックは2つの方法でエッジを推進したと述べています。

「人々は職を失い、企業はパフォーマンス向上に費やす資金が少なくなり、従業員は、生産性を高めるための次世代モバイルデバイスの必要性を雇用主に納得させられる理由があまりなくなった」と彼は言います。

「魔法の5G需要は、ビデオ会議やコンテンツベースのエンターテインメントなど低遅延のサービスに取って代わられた。したがって、様々な需要に応じる様々なエッジ展開が具体化してきている」とBeltramino氏は補足します。

McCarthy氏はこれに同意しています。「どちらかといえば、 人々がもはやオフィスにはおらず、エッジのように分散したことで、コロナはエッジの需要を促進したと言える」

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