AWS、2030年までのウォーター・ポジティブを表明

Google、Microsoft、Metaと同様、データセンターにおける水使用量の削減に取り組む

Amazon Web Services(AWS)は、自らの事業をウォーターポジティブにすることを表明した新たなハイパースケーラーとなりました。

ラスベガスで開催されたイベント「AWS re:Invent」で、同社は2030年までにウォーター・ポジティブを実現し、直接業務で使用する以上の水を地域社会に還元するという方針を示しました。

AWSのCEOであるAdam Selipsky氏は次のように述べています。「水不足は世界中で大きな問題となっており、本日のウォーター・ポジティブの発表により、私たちはこの急速に広がる問題の解決に向け、自らの役割を果たすことを約束します。「すべての人が水を使えるようにするためには、この貴重な資源を節約し、再利用するための新たな方法を開発する必要があります。私たちは、これまでの歩みを誇りに思う一方で、もっとできることがあるとも思っています。私たちは、クラウド事業におけるウォーター・スチュワードシップをリードし、私たちが事業を展開するコミュニティで使用した以上の水を還元することを約束します。これが環境とお客様にとって正しい行動であることを私たちは確信しています。

この目標を達成するための同社の取り組みとしては、水の使用量をリアルタイムで分析し、IoT技術を用いて漏水を特定して修正する、冷却にリサイクル水や雨水を利用する-水を複数回再利用できるオンサイト水処理システムを含む-、さらに可能な限り施設での水なし冷却や 様々な水の補充活動に資金提供するなど、還元だけでなく補充活動も含まれます。

2021年、AWSは世界の水使用効率(WUE)指標である1kWhあたり0.25Lの水を達成したと述べています。アイルランドやスウェーデンでは、AWSは1年のうち95%、データセンターの冷却に水を使用していないとのことです。なお、米国エネルギー省のレポートによると、平均的な蒸発冷却式データセンターのWUEは、1kWhあたり1.8Lで あるとされています。

英国では、AWSはThe Rivers Trust社およびAction for the River Kennet社と共同で、テムズ川の支流に2つの湿地帯を作ることに取り組んでいます。

「イングランドの河川は国の宝であり、AWSと提携し、この地域のメンバートラストと協力してテムズ川とその支流を保護できることを嬉しく思います」と、The Rivers TrustのCEOであるMark Lloyd氏は述べています。「2030年までにウォーター・ポジティブになるというAWSのコミットメントは、気候変動の影響を受けた河川や水資源の回復を支援するために必要な行動を後押しするものです。私たちは、AWSとの関係を拡大し、このパートナーシップを利用して、他の企業が河川の回復力を向上させる水管理活動を共同で支援できる同様の道を示すことを楽しみにしています。”

データセンターは冷却のために大量の水を使用しますが、業界が実際に使用する水の量は明確ではありません。研究者らは、米国の平均で、データセンターのエネルギー消費1MWhは7.1㎥の水を必要とすると推定していますが、これは地域や施設によって大きく異なる可能性があります。

Google、MetaMicrosoftは、2030年までのウォーター・ポジティブを公約していますが、彼らの施設の多くは現在、1日あたり数百万ガロンもの水を使用しています。CyrusOneは、自社のいくつかの施設がウォーターポジティブであると主張しています。

Morningstar Sustainalyticsは以前、マイクロソフトが節水への取り組みで市場をリードしている、との報告書を公開しました。ヨーロッパのデータセンター事業者らは今年、欧州委員会に対し、2040年までに水の使用量をコンピュータの電力1kWhあたり最大400mlに削減することを表明しました。

この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。

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