
Metaがイリノイ州原子力発電所の全電力について20年間のPPA
ConstellationとのPPAにより、Clinton Clean Energy Centerの30MW拡張計画も
Metaは、Constellation Energy(Constellation)と、イリノイ州クリントンにある原子力発電所から110万kW以上の電力について、20年間の電力購入契約(PPA)を締結しました。
この契約は、2027年6月から開始され、MetaはConstellationが所有する1.121GWのClinton Clean Energy Centerの全出力を引き取ることになります。
この契約は、州が出資するゼロエミッションクレジット(ZEC)プログラムの終了後、20年間にわたり同施設の再ライセンシングと運営をサポートします。さらに、この契約では、アップレートにより、発電所の出力をさらに30MW拡大する予定です。この拡張により、原子力発電所の出力は、1.092GWから1.121GWに増加します。
Constellationの社長兼CEOであるJoe Dominguezは、次のように述べました。「既存発電所の再ライセンシングと拡張を支援することは、新しいエネルギー源を見つけることと同じくらいインパクトがあります。前進する上で最も重要なことは、後退することをやめることです。」
クリントン原発は当初、長年の財政赤字の末、2017年に閉鎖される予定でした。しかし、この閉鎖は、「 Future Energy Jobs Act」の制定により、一時的に回避されました。この法律により、ZECプログラムが創設され、発電所は2027年半ばまで財政的支援を受けられることになりました。
MetaとのPPAは、事実上このプログラムに取って代わるもので、継続的な運用を可能にします。このプロジェクトからの電力は、引き続き地域の送電網に供給され、同社は、電力使用量を低炭素エネルギーに合わせる取り組みの一環として、プラントで生成されたクリーンな属性を購入します。
Metaのグローバルエネルギー責任者であるUrvi Parekhは、次のように述べています。「私たちは、Constellationおよびクリントンコミュニティと提携し、原子力発電所の長期運転を確保し、新たな発電能力を追加し、1,000人以上の雇用を守ることができることを嬉しく思います。クリーンで信頼できるエネルギーを確保することは、私たちのAIの野望を前進させ続けるために必要なことです。私たちは、クリントン発電所の今後の運転継続を支援し、この発電所がエネルギーにおけるアメリカのリーダーシップを強化するための重要な要素であることを証明できることを誇りに思います。」
Constellationは現在、同原発の既存の早期立地許可を延長するか、あるいは米国原子力規制委員会(NRC)から新たな建設許可を得て、同原発で改良型原子炉または小型モジュール炉を開発する可能性を検討しています。
今回のPPAは、同社がデータセンタープロバイダーと締結した2件目の契約となります。昨年9月には、復活したスリーマイル島原子力発電所の全出力について、マイクロソフトと20年間のPPAを締結しています。
この契約により、マイクロソフトは「Crane Clean Energy Center」と改名された837MWの1号機から発電容量を引き取ります。この原子炉は2028年に稼動する予定で、PPAは今年中にNRCの承認を得る必要があります。
Metaとの契約は、Constellationがデータセンター部門へのエネルギー供給戦略を倍増させたことに続くものです。5月に行われた第1四半期決算説明会で、同社のCEOであるJoe Dominguezは、「AIデータセンターの需要拡大は、電力網の内外両方における大規模なデータセンター開発を支援する絶好の機会です」と述べました。
Constellationは、中西部、中部大西洋岸、北東部の12か所に21基の原子炉を持つ、米国最大の原子力発電所を運営しています。原子力事業に加えて、水力発電、風力発電、太陽光発電を含む低炭素エネルギー資産の多様なポートフォリオを管理しており、その合計容量は32.4GWを超えます。
今回のPPAは、Metaにとって初の原子力発電資産との契約となります。同社は12月、全米で1.4GWの新規原子力発電容量をサポートするため、潜在的な原子力エネルギー開発業者を特定する提案依頼書を発表しました。
しかし、同社の原子力発電への意欲は、すべてが順風満帆だったわけではありません。昨年11月には、AIデータセンター向けの原子力電力供給計画が、計画地で希少なハチの種が発見されたことにより妨げられる事態が発生しました。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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