ゼロカーボン・セメント登場か?しかし実現にはまだ時間が必要

デジタルインフラは他の多くの産業と同様、アグレッシブな建設計画の実現のためにセメントやコンクリートに大きく依存しています。また他の産業と同様に、コンクリートから発生するエンボディドカーボン(内包二酸化炭素)は、ネットゼロへの移行の一環として業界が対処すべきスコープ3の排出量の大部分を占めています。 そんな中、Digital Infra Networkは、グローバルセメント・コンクリート協会(GCCA)の最高責任者トーマス・グリオット氏が、ネットゼロエミッションへの移行計画を発表した記事を読み、勇気づけられました。

「2050年に存在するであろうインフラの4分の3がまだ建設されていないことを考えると、驚くべきことです」。これは、国連事務総長のアントニオ・グテーレスがGCCAによるセメントとコンクリートのグローバル・ネット・ゼロ・ロードマップの発表会で述べた言葉です。

グテーレス事務総長は「今、信頼できる行動を起こさなければ、将来の世代は住みやすい地球を手に入れることができない」と述べ、持続可能な建築資材が私たちの未来にとっていかに重要であるかを強調しました。

コンクリートは建築に不可欠な要素であり、その弾力性、強度、価格、入手のしやすさは他の材料には及びません。地球上で最も使用されている人工材料であり、データセンターを含むあらゆる建築物に使用されるため、毎年140億立方メートルが生産されています。セメントの生産は世界のCO2排出量の約7%を占めています。

GCCAはセメント業界を代表して2050年までにネットゼロを目指す詳細なロードマップを発表し、今後10年間で排出量を4分の1に削減することを約束しています。今回発表されたロードマップは、いくつかの重要なアクションを中心に構成されています。その内容は、低炭素セメントやコンクリート製品の提供を促進すること、循環型社会を実現すること、製造工程での化石燃料の使用を削減すること、技術革新や炭素回収などの画期的な技術を促進することなどです。これは間違いなく、正しい方向への非常に前向きな一歩であり、他のすべての業界が追随することを期待しています。

しかし、これを達成するのには今後29年間もかかるのでしょうか。また、本当にそんなに長く待っていられるのでしょうか。2050年に存在するであろうインフラの4分の3がまだ建設されていないのであれば、はるかに短い期間でこれらのコミットメント実現を目指すことが不可欠です。産業全体を変えるには時間がかかるのは明らかですが、他のエネルギー多消費型産業と同様にセメント産業も24時間365日の再生可能エネルギーのマッチングに直ちに移行することで、より迅速に貢献することができるでしょう。このアプローチが正しく行われれば、付加価値のある再生可能エネルギーの資金源となり、再生可能エネルギーへの移行に大きな影響を与えることができます。エネルギー生成が世界の排出量の約73%を占めていることを考えれば、これはより早い勝利となるでしょう。

ゼロカーボンの達成には、低炭素製品への需要を喚起するために政策立案者と産業界の双方が協調して取り組む必要があります。ネットゼロ経済への移行を実現するためには、国際的に認知されたカーボンプライシングとカーボンメジャメントのメカニズムを迅速に開発する必要がありますが、それを可能にするのは、世界のテクノロジーとデジタルインフラ産業です。

この変革は一朝一夕に実現できることではなく、グローバルレベルでの協調が求められます。しかしセメント・コンクリート業界が「グリーンコンクリート」を基盤としたゼロカーボン経済を実現するための取り組みを行っていることは、大変喜ばしいことです。少しだけスピードアップしてみましょう。

Digital Infra Network (Dan Scarbrough 記者)より抄訳・転載

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