シンガポール、テンゲ貯水池に大規模な浮体式太陽光発電所を設置
内陸部では最大級の浮体式太陽光発電所、さらに2つの貯水池での作業も開始
シンガポールは今月初め、世界最大級の内陸部の浮体式太陽光発電所を立ち上げました。これは、トゥアスのTengeh(テンゲ)貯水池に設置されたもので、2016年に同じ場所でのテストベッド立ち上げ、成功後のわずか4年余りで実現に漕ぎつけました。
Tengeh貯水池の面積は45ha(※サッカー用フィールド45個分)で、10基のソーラーパネルアイランドに122,000枚のソーラーパネルが設置されています。発電能力は60MWp(メガワットピーク)で、国の送電網に直接接続されています。将来的には蓄電設備の導入も検討されています。
この浮体式太陽光発電所は、Sembcorp Floating Solar Singaporeが、シンガポールの水供給システムを規制・監督する公益事業庁(PUB:Public Utilities Board)と共同で設計・建設・所有・運営しています。
PUBによると、太陽電池パネルの間に隙間を設けることで空気の流れを良くし、水生生物に十分な太陽光が届くようにしたと説明しています。さらに、エアレーターによって水中の酸素濃度を維持し、生物多様性や貯水池の水質への影響を低減しています。
また報告では、強度を高めるために二重ガラスのPVモジュールを使用し、雨水の排水を最適化するためにパネル自体を傾斜させていると言います。そして水質を損なわないように、フロートには食品用素材として認定されている高密度ポリエチレン(HDPE)を使用し、紫外線対策も施されています。また、強風の際にフロートが動かないように、係留索で貯水池の底に固定されています。
パネルが最適に動作するよう、定期的な運用・保守点検にはドローンが使用され、手作業による点検コストは約30%削減されています。
浮遊式ソーラーアレイは、水の蒸発作用の恩恵を受けながら、自らも蒸発を抑えて貯水池からの水の損失を抑えています。実際、この冷却コンポーネントのお陰で、試験期間中には、従来の屋根置き型の太陽光発電システムと比較して、最大で15%の性能向上を実現しました。
開所式を執り行ったリー・シェンロン首相によると、Tengehで発電された電力は、地元にある5か所の浄水場すべての運営に十分な量であるとのことです。
シンガポールは、2030年までに2GWp(ギガワットピーク)の太陽光発電容量を目標としています。現在、Bedok貯水池とLower Seletar貯水池でも同様の浮体式太陽光発電所の建設が進んでおり、今年末までには完成する予定となっています。
電力や土地に関する制限があることもあり、シンガポールでは現在、データセンターのモラトリアムが実施されている最中です。
この記事は海外Data Centre Dynamics発の記事をData Center Cafeが日本向けに抄訳したものです。
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